日立製作所は3月11日、労働組合との2020年春季交渉に対する回答を行ったと発表した。交渉においては、エンゲージメント向上に向けた「総合的な人財への投資(トータルリワード)」と「仕事・役割基軸(ジョブ型)の人財マネジメントへの転換」について議論したとしている。
賃金については、新型コロナウイルスの影響拡大などの経営を取り巻く情勢の不確実性が増していること、前期比減収減益の業績の見通しの下で厳しい検討となったが、従業員のモチベーション・エンゲージメントの向上に重きを置き、回答を決断したという。
具体的には、「賃金体系を維持した上で3000円の水準改善を行う」という要求に対し、「賃金体系を維持した上で1500円の水準改善を行う」という回答を出している。
各人の賃金改定額は、これまで通り、発揮価値の高さ(「成果の大きさ」と「行動の的確さ」)に応じて決定する。
賞与についても、厳しい状況の中、5セクター全体で調整後営業利益の通期見通しを期初から維持していること、今後のグローバルマーケットでの成長に向けた期待を総合的に勘案し、回答を出したとしている。
具体的には、199万4000円の要求に対し、188万9000円の回答が出ている。月数は6.3カ月の要求に対し、6.0カ月の回答が出ている。
同社は「ジョブ型の人財マネジメントへの転換」に向けて、「職務内容や求められる資格・経験などを記載した『ジョブディスクリプション』の整備」「複数の上長が部下の強みやキャリア志向などを話し合い、配置・育成につなげるための『タレントレビュー』の導入」「上司と部下が中長期的な成長に向けて定期的に業務状況や個人のキャリア志向、その他個別の事情などを話し合う『1on1』の実施」「ジョブ型の人財マネジメントにおいて重要な役割を担うマネージャー支援」という4つの施策を行っていく。