東京農工大学は3月10日、プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)との共同研究成果である核酸抽出からリアルタイムPCRとその結果の判定まで全自動化した「geneLEADシステム」が、新型コロナウイルス(COVID-19)の診断にも利用可能であることを実証したと発表した。

同成果は、同大大学院工学研究院生命機能科学部門の養王田正文 教授および農学部附属 国際家畜感染症防疫研究教育センターの水谷哲也 教授、PSSらで構成される協働研究グループによるもの。

同システムは、各研究機関や病院で行われている複雑かつ高精度な作業が要求されるPCR検査の工程を、正確かつ迅速、簡便に自動化することを目的に開発されたもので、すでにPSSのサイエンティフィックアドバイザリーボードの微生物学専門メンバーを中心に、細菌やウイルス分野における活用指針が示され、デング熱やジカ熱、エボラ熱、西ナイルウィルス、マラリアなどに対応できる汎用システムとして製品化されている。

今回の取り組みは、こうしたこれまでの成果を踏まえ、新型コロナウイルスへの利用が可能であることを実証したものとなる。

なお、養王田教授によれば、同システムを活用した新型コロナウイルスの分析は実用化の段階にあると考えられるが、実際に検査の現場で利用できるようにするためには、検証と新型コロナウイルスに向けた検査試薬と同システムの反応最適化条件の設定などが必要であり、現在、そうした作業を進めているとのことで、今後、検査機関と協力することで、新型コロナウイルスの迅速な診断法の確立に向けた取り組みを加速していきたいとしている。

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    東京農工大学とPSSによる新型コロナウイルスのアウトブレイク対策に向けた各機関との連携イメージ (出所:東京農工大学Webサイト)