トヨタの自動運転ソフトウェアの先行開発を行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)は3月10日、従来はコストがかかるため広範囲での網羅が難しく自動車専用道路に限られていた高精度地図生成に関して、複数のパートナーと実証実験を実施し、自動運転に必要な相対精度:50cm程度以下の地図生成が可能であることを確認したと発表した。
今回の実証実験では(1)専用の計測車両を使用せずに、衛星や一般車両から得られる画像データなどを元にして、自動運転用の地図情報を生成、(2)TRI-ADの自動地図生成プラットフォームであるAutomated Mapping Platform(AMP)上の車両データのデータ形式を変換し、アルゴリズムを補正することにより、他社のプラットフォーム活用の2点を検証し、いずれも高精度地図生成に有効であるという結果を得た。
これらの実験成果を活用することで、自動運転用地図の更新期間の短縮、エリアの拡大、作成および維持コストの削減が期待できるという。
実証実験はマクサー・テクノロジーズ(Maxar)とNTTデータ、CARMERA、TomTom International(TomTom)、HERE Technologies(HERE)と行った。
また、宇宙技術ソリューションをリードするMaxar、NTTデータとは、昨年4月から3社合同で高解像の衛星画像を用いた自動運転用高精度地図の自動生成に向けた実証実験を行い、衛星画像に写る自動車や影、建物の倒れこみによる遮閉などの地図以外の要素を自動で解析・除去・補正することで、必要な地図情報を自動抽出することに成功した。東京23区と海外6都市で、自動運転制御に活用できる相対精度:25cm程度の地図生成を実現し、自動運転用地図として有用であることを確認した。
道路インテリジェンスのプラットフォームを提供するCARMERAとは、東京23区と米国2都市で一般車両にも搭載可能なドライブレコーダーを使用した自動地図生成技術の検証を実施。ドライブレコーダーのデータのみで自動運転に必要な相対精度:40cm程度の地図生成に成功した。
両社が連携してCARMERAのReal-Time Events and Change Management engineと同じマシンラーニング技術などを使用することで、自動運転に必要な最新情報を判別し、HDマッピング・システムに送信・更新することが数分でできるようになり、AI認識に必要な画像データを収集し、幅広いエリアの地図生成の可能性について実証した
位置特定技術をリードするTomTomとは、TRI-ADが集めたAMPの車両データの信頼性を検証し、TomTomのクラウドベースの地図生成プラットフォーム用にデータ形式を変換し、TomTom独自のアルゴリズムを活用して入力することで、自動運転に必要な車線情報を含む一般道高精度地図の生成と更新に成功した。
位置情報データおよび位置情報技術のプラットフォームを提供するHEREとは共同実証実験も行い、TRI-ADの車両データの位置誤差をHEREの高度セルフヒーリング技術で補正することにより、自動運転に必要な車線情報を含む一般道高精度地図の生成に成功。
車両データをHERE Platformに入力することで、HERE独自のアルゴリズムで高精度の一般道地図を自動生成することができ、すでに同社のHD Live Mapは世界有数の自動車メーカーのレベル3自動運転開発プログラムにおいて採用されている。