富士通は3月9日、今年の1月15日に設立したDX(デジタルトランスフォーメーション)ビジネスを行う新会社「Ridgelinez株式会社(リッジラインズ)」(資本金1億円:富士通100%出資)の事業戦略説明会を開催した。
同社は4月1日に、約300名体制でビジネスをスタートする。内訳は、9割が富士通と富士通総研からの出向で、残り1割が外部採用だという。
Ridgelinezは、DXに向けたコンサルティングやテクノロジー実装までワンストップサービスで提供し、富士通のパートナー企業の1つとして活動していく。
具体的には、戦略策定、ビジネスモデルソリューション設計、業務プロセスアーキテクチャ設計、オペレーションシステム開発、戦略実行、エコシステム構築・運用を行う。
4月1日に新会社の代表取締役社長に就任する今井俊哉氏は、初年度の売り上げ目標として200億円を挙げ、3年で600人体制にしたいと目標を掲げた。初年度は国内のグローバル企業向けにビジネスを展開し、将来はグローバル展開する。
今井氏は、「DXでは実装して早く成果を出す。また、一回実装しただけでいきなり正解にたどり着くわけではない。トライアルをしていきながら経験値を得た企業が、より強い競争力を得られる。それに必要なのが、トランスフォーメーションデザイン(Transformation Design)で、われわれはまず、ここでバリューを出し、変革創造企業として頑張っていきたい」と語った。
Transformation Designでは、「企業の目指す姿を体現する事業モデルの再定義」、「お客様と社会の価値創造に軸足を置いた優先順位付け」、「実装と成果を常に追求する実践志向実装と成果を常に追求する実践志向」を行っていくという。
新会社がユニークなのは、独自の人材制度を採用する点だ。「プロフェッショナルとしての市場価値にふさわしい“報酬体系”」、上司ではなく、第3社機関が人事評価を行う「360度評価をはじめとした透明性の高い“評価制度”」、リモートワーク、フリーランスの活用など「共創を推進するオフィスや柔軟に働ける制度等の“環境整備”」を用意する。
今井氏は、「戦略コンサルティングファームでは毎年社員の2割が辞めていく。それを含めて600名体制にしていく計画なので人材難のなかでは大変だ」と述べ、優秀な人材を集めるために魅力的な制度を整える必要があるとの考えを示した。
富士通 代表取締役社長 時田隆仁氏は、社内の事業部としてではなく、新会社としてDX事業を行うを理由を「(富士通では)業種・業務ごとのデータやノウハウをシェアし、うまく活用することができず、顧客に価値を提供するという仕組みも十分ではなかった。新会社では新たなカルチャーのもと、独自の仕組みや社内制度を整備して、柔軟性・機動性に長けた活動を行う。富士通の一部門ではなく、自立した企業として競争力のある集団を目指す」と説明した。
また今井氏は、新会社がグローバルコンサティングファームと富士通の組み合わせと何が違うのかという質問に対して、「かぶる部分もあると思うが、具体的なソリューションレベルになったときに、技術、組み合わせの面で、われわれのほうがクイックにできることがある」と回答した。