リコーは3月9日、BONXの開発したヒアラブルコミュニケーションデバイス「BONX Grip」およびクラウドサービス「BONX for BUSINESS」をコクヨロジテムに導入し、コクヨロジテムは同日から全国の物流拠点での運用を開始したと発表した。なお、同製品および同クラウドサービスの物流業界における全国規模の導入は初めての事例となる。
BONX for BUSINESSは、従来の無線電波を使ったトランシーバーとは異なり、スマートフォンのインターネット回線を使ったVoIP(Voice over Internet Protocol)によるクラウドベースのグループ通話ソリューション。働く場所を限定せず、最大30人までの音声グループコミュニケーションを簡単に実現し、専用のヒアラブルコミュニケーションデバイスであるBONX Gripを使用することで、作業時に両手が塞がった状態でもハンズフリーでリアルタイムのコミュニケーションを可能としている。
今回、リコーがビジネス向け展開を進めているBONX Gripをコクヨロジテムの全国の物流拠点で導入し、BONX for BUSINESSのサービスを利用して、納品・引っ越し業務・倉庫内の事務所・現場のスタッフ間コミュニケーションツールとして活用する。
これまで、コクヨロジテムの主力事業であるオフィス家具の組立・納品業務では、現場での円滑な作業工程の遂行、複数拠点を繋ぐ同時コミュニケーションの重要性は、かねてから課題となっていたという。
同社で担当する組立・納品、構内作業の各現場において、BONX for BUSINESSのグループ通話機能を活用することで、昨今の高層ビル開発に伴う複数フロアや広範囲の納品現場、搬入作業での必要な各工程の作業担当者間とのコミュニケーションツールに加え、製品の保管・物流を担う全国の配送拠点では構内作業と物流管理の各現場を繋ぐコミュニケーションツールとして活用する。
BONX Grip およびBONX for BUSINESSを用いることで最大30人とハンズフリーで一斉連絡することが可能になり、音声を切り口として同時進行の作業をより正確に、安全に、そしてスピーディに進められるメリットを最大限活用できるという。物流業界共通の課題である、現場での安全性・効率性の向上、より高品質、高価値な製品・サービスの提供を目指す。
コクヨグループの物流業務を担う、コクヨロジテムは物流業界での働き方改革や労働力人口の減少に伴い、2017年からAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など最新のデジタル技術活用を始めとした業務ツールの改革・オペレーション改善、物流業界のイメージ脱却を社内外へ働きかけるプロジェクトを推進している。
今後はこれまで以上に積極的にデジタル技術・最新ツールを検討し、配送ドライバーなど、他業務への展開を図り、音声データを活用した業務効率化を目指す。
リコーは今後も、さまざまな業種に対してヒアラブルコミュニケーションデバイスを利用したクラウドサービスの展開を図り、音声グループコミュニケーションによる業務効率化、働き方改革を支援するとともに、従来取得が難しかった現場の音声データを活用した音声ソリューションの開発を進めていく考えだ。