3nmプロセス時代の配線層形成に成功
ベルギーimecと半導体露光装置メーカーのASMLは、2月23日~27日に米国カリフォルニア州サンノゼで開催された「SPIE Advanced Lithography Conference」にて、3nmテクノロジーノードプロセスのFEOL(トランジスタ形成)に対応するBEOL(バックエンド多層配線)としてEUVの単一露光による24nmピッチのライン&スペース(L/S)のパターニングに成功したと発表した。
これは2019年第2四半期にimecのクリーンルームに設置されたASMLのEUV露光装置「NXE:3400B」を活用することで実現したもの。NXE:3400Bの標準的な照明では、EUVマスクは高い入射角の下でウェハ画像を歪ませる傾向があり、レジストプロファイルが不良になってしまうが、imecとASMLはこれまでの共同研究から画像の歪みを補正する方法を開発。これを活用することで、照明の最適化を図り、1回のEUV露光で最小露光量34mJ/cm2(金属酸化物レジスト(MOR)の場合)で24nmのピッチのライン&スペースを形成することに成功したほか、化学増幅型レジスト(CAR)を使用した場合でも55.7mJ/cm2の露光量で最適のパターニングを行うことができることを確認したという。
imecのEUV露光研究者によると、「次世代のレジスト材料としてCAR/MORのいずれを選ぶか現在はまだ判断するタイミングではない。将来の選択肢は多いほど良いので、今後両方のレジストを用いたリソグラフィプロセスについてさらに改良する研究を続けていく」としており、imecのAdvanced Patterning Process and Materials VPであるSteven Scheer氏も「NXE:3400Bを活用して、3nm未満の微細プロセスで求められる高感度かつ安定した性能のレジストの開発を次世代の高開口数(NA)EUV露光装置の導入に先行して進めることができるようになる」としており、将来の微細プロセスに対応する材料の開発プラットフォームとしてNE:3400Bの有効性が示されたとしている。
ちなみにこの次世代EUV露光装置は、「NXE:5000」と呼ばれる予定のもので、開口数(NA)はNXE:3400Bの0.33よりも高い0.55で、3nmプロセスノード以降の微細プロセスであっても高解像度による露光が可能だとASMLでは説明しており、2022年の出荷を計画している。
2020年10月より高NAリソグラフィ研究を開始
imecならびにASMLは、EUV露光装置とは別の有力技術であるアト(atto)秒分析および干渉リソグラフィを利用した300mmウェハへの高NAリソグラフィを2020年10月より開始する予定であるともしている。imecとASMLが共同で露光中のEUVレジストのアト秒スケールでの分子動力学を探索することを目的に設立した「AttoLab」が主体となって進めているもので、干渉リソグラフィを活用して、8nmピッチまでのパターン形成を目標としており、NXE:5000の導入前に、NXE:3400Bを用いて高NA互換レジスト材料の開発を加速させていくとしている。