パナソニックの社内分社であるコネクティッドソリューションズ(CNS)は3月4日、東京本社の7階、15階、16階、17階の4フロアで登録人数約8000人を対象に、顔認証での入退管理の運用を開始した。新システムはディープラーニング(深層学習)を応用した顔認証技術を利用し、2019年2月に提供開始した「入退セキュリティ&オフィス可視化システム KPAS(ケイパス)」を導入しており、顔認証と勤怠管理システムとの連携も開始した。
顔認証による入退管理の導入により、従来のICカード型におけるカードの紛失やなりすましなどの課題を解決できるとともに、スピードや利便性の向上によりオフィスにおける効率性の向上を図れるようになるという。
具体的には、登録者はオフィスフロアの各部屋への入退室時に、壁掛けチェッカーの前に近付き、顔認証だけでドアの解錠を行うことができ、迅速かつ厳格なオフィス入退管理を実現するとしている。
さらに、顔認証による入退許可の際にKPASが勤怠管理システムに情報通知し、勤怠管理システムが自動的に入退出時刻の登録をすることで、顔認証と勤怠管理との連携も実践していく。
KPASは、一括の顔登録に加えて専用端末で顔と名刺を同時に登録し、最短15秒で利用できる。これにより、社員に加えて来訪者の入退管理を可能とし、登録可能人数は最大3万人と、大規模オフィスビルに対応する。なお、一度登録した来訪者の顔画像は、顔認証による本人確認が終了後に一定期間を経て無効にする設定となっている。
顔認証の登録画像として、企業で管理している社員証などの画像情報の利用が一般に考えられるが、過去に撮影した社員証の画像は顔認証の使用を想定していないケースが多いという。一方で、顔認証のために全員の写真を撮り直ししなければ顔認証と勤怠管理との連携が始められないことが導入への障壁となっている。
今回の導入では、約8000人の社員証の画像を使用し、勤怠連携のための認証精度を継続的に検証、改善していく。具体的には、入出退の際の顔認証の結果パラメータをKPASが分析し、認識精度が低いユーザーを抽出した上でシステム管理者と連携することで、認証精度の継続的な改善を検証する。今回の導入での成果を踏まえ、KPAS製品の機能を強化していく考えだ。