厚生労働省はさまざまな形で新型コロナウイルスに関する情報を発信しているが、労働者を対象としたWebページ「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」も公開している。
先日、感染拡大を防ぐため、政府から臨時休校の要請が出され、対応を迫られている人も多く、休暇取得の支援策が気になるところではないだろうか。本稿では、同ページのポイントを紹介しよう。
労働基準法における休業手当、年次有給休暇はどうなる?
まず、新型コロナウイルスに感染して、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられるので、休業手当は支払われない。
ただし、被用者保険に加入しており、要件を満たす場合は、保険者から傷病手当金が支給される。 具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償される。
また、労働基準法上の労働者であればパートタイム労働者、派遣労働者、有期契約労働者など、多様な働き方で働く方も含めて、休業手当の支払いや年次有給休暇付与が必要となっている。
テレワーク、時差通勤
政府は感染拡大を防止するため、企業に対しテレワークを推奨している。厚生労働省は、テレワークに関連する情報を一元化した「テレワーク総合ポータルサイト」を設け、テレワークに関する相談窓口、テレワークに関するQ&Aなどテレワークの導入・活用に向けた各種情報を掲載しており、こちらを参考にするようアドバイスしている。
なお、厚生労働省は3月3日、テレワークを新たに導入した中小企業に対し、導入費用の半額を100万円を上限として助成すると発表。テレワーク用通信機器の導入・運用、就業規則・労使協定等の作成・変更を行った中小企業に対し、支援する。
時差通勤については、労働者および使用者は、その合意により、始業、終業の時刻を変更することができるので、時差通勤の内容について、労使で十分な協議をするようアドバイスしている。
始業、終業の時刻を労働者の決定に委ねる制度として、フレックスタイム制がある。同制度は、1日の労働時間帯を、必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、その時間帯の中であればいつ出社または退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)とに分けるもの。コアタイムは必ずしも設けなくてよい。
小学校などの臨時休校
新型コロナウイルス感染の拡大防止策として、臨時休業した小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などに通う子の世話を行うことが必要となった従業員の休暇取得を支援するため、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主に対し、助成金が出る。
支給額は、休暇中に支払った賃金相当額×10/10で、日額上限は8330円となっている。適用日は2月27日から3月31の間に取得した休暇。