日本電気(NEC)は3月4日、5GおよびBeyond5G(5Gの次の世代の無線通信システム)時代の無線通信データの大容量化に向け、D帯(130~174.8GHz)に対応したRF IC(周波数変換器)と同デバイスを実装した屋外無線装置を開発し、10Gbpsの屋外無線伝送実験に成功したと発表した。
このたび同社が開発したのは、D帯で動作し、幅器や周波数変換回路などの複数機能を有したするRF IC。あわせて、同デバイスを石英基板上にフリップチップ実装するRFモジュールも開発したという。
そして、RF ICを用いたモジュールと変復調部が一体となった試作装置を用いて、D帯という高い周波数帯で10GbpsのFDD(周波数分割複信)により双方向屋外無線伝送実験に成功したという。
対向する装置の送受信周波数はそれぞれ142GHzと157GHzに設定し、リンク距離150m、変調方式128QAM、変調速度1.6Gbaudによる10Gbps伝送の条件で実験を行い、エラーフリーでの信号通過を確認したということだ。
さらに、実使用環境を想定し、4ヶ月以上にわたり約1kmのリンク距離で無線伝搬特性の実証実験を行った。この実験を通して得られたデータを基に、ITU-R勧告による降雨と通信稼働率の関係式をD帯まで拡張するための検討を行うとしている。
NECは今後、同技術を超小型マイクロ波通信システム「パソリンク」に適用し、5GおよびBeyond5Gの商用利用において大容量化が求められるモバイルバックホール、フロントホール回線での利用を目指すということだ。