福井県というと、サイエンス分野だと「恐竜博物館」や「水月湖」、観光地であれば「東尋坊」、産業分野であれば「メガネ」など、さまざまなトピックがあるが、実は超小型衛星の開発製造における国内拠点の1つとしても知られている。

そんな福井県が、これからの日本の宇宙開発の活性化に向け、存在をアピールするべく、2020年2月26日より開催されている「日本ものづくりワールド2020」にて、県ぐるみでの宇宙への取り組みを紹介している。

現在、福井県は2020年度に人工衛星の打ち上げを目指す「福井県民衛星プロジェクト」を進めるなど、宇宙産業の育成に力を入れている。ブースにも、同プロジェクトで打ち上げ予定の福井県民衛星「すいせん」の1/1スケールならびに1/2スケールのモックが展示されているほか、東京大学の中須賀・船瀬研究室と協力して開発した3Uキューブサット「RWASAT-1」や東京オリンピック・パラリンピック(東京2020)期間中に宇宙から応援メッセージを送る予定のガンプラ衛星「G-SATELLITE」の製造を担当するなど、すでに打ち上げ実績のある衛星の紹介なども行われている(RWASTA-1は2019年11月に国際宇宙ステーション(ISS)より放出、G-SATELLITEは2020年3月にISSに向けて打ち上げられる予定)。

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  • 福井県民衛星「すいせん」。本当にモックで、フライトモデルでもエンジニアリングモデルでもないとのこと

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  • 福井県の企業などが開発にかかわった3Uキューブサットの「RWASAT-1」や「G-SATELLITE」も展示

また、超小型衛星のみならず、各種の試験設備の紹介や県内企業による素材の紹介、衛星追従型パラボラアンテナシステム、果ては県立若狭高校海洋科学科による宇宙空間でもおいしく食べられるサバ缶(サバ醤油味付け缶詰)の研究開発成果(実際に2018年に33番目となる宇宙日本食として宇宙航空研究開発機構(JAXA)より認証を受けた)なども紹介されており、まさに県をあげて宇宙産業の拠点化を目指す姿勢を見せている。

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  • 若狭高校の生徒たちが12年をかけて宇宙日本食認証の取得を目指してきたサバ缶やルワンダ共和国の河川水位状況や気象情報などを超小型衛星を介して日本で受信するシステムの実現に必須となる衛星追従型パラボラアンテナシステムなども紹介されていた。このパラボラアンテナは折り畳み式で、分解して航空手荷物として持ち運びが可能だという

なお、「すいせん」の打ち上げは2020年4~9月の間に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地より打ち上げられる予定。高度600kmの太陽同期軌道を予定しており、地上分解能2.5mの望遠カメラを活用して地上の撮影に挑む。福井県としてもこの打ち上げを契機に、衛星の製造受注の活性化や、衛星データの行政利用、そうしたデータ活用の他県への売り込みなどを行っていきたいとしているほか、超小型人工衛星の量産体制の構築や宇宙産業を担う人材育成と参入企業の拡大、新たな顧客の開拓などを積極的に進めていきたいとしている。

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    研究中の伸展展開型アンテナを搭載した6Uキューブサット。膜構造マイクロストリップアンテナを折り畳み、衛星バス内部に収納することで、打ち上げ時には邪魔にならず、展開後は高いアンテナゲインにより、従来の超小型衛星に比べて、より高い高度での運用を可能にすることを目指している