あなたの組織では、意思決定のプロセスはどのように行われているだろうか?プロセスの中で、反対意見が出ることはあるだろうか?もし反対意見が出ると、どうなるのか?意見が違うことは、重要だ。違う見方を見せてくれるからだ。潜在的なリスクやマイナス要因がわかることもあるだろう。

業務に関わる法令や会計上の懸念から手続きやシステム上の不備や懸念。一人の知識がすべてを網羅することは難しいものだ。さらには、異なる意見が新しいイノベーションにつながることもあるだろう。これらはダイバーシティ(多様性)が重要と言われる所以のひとつでもある。

DX(Digital Transformation)という動的な変化が求められる昨今、会議やミーティングの場であえてコンフリクト(衝突)させる手法をビジネス誌のForbesが「How To Support The Right Kind Of Conflict At Work」が紹介している。

寄稿するのは経営コンサルタントのContributorのLiz Kislikさん。フォーチュン500企業から家族経営企業まで30年間にわたり職場の課題を解決してきた。TEDxでの講演実績もあり“Why There’s So Much Conflict at Work and What You Can Do to Fix It,”(なぜ職場でそんなに多くの対立があるのか​​、それを解決するためにできること)。さっそく、記事のアドバイスを見てみよう。

まずは衝突を受け入れる文化づくりから。意見の衝突がなぜ大切なのか?ディベートの習慣があると言われる米国の組織でもこれを説明するのが難しいようだ。Liz Kislikさんは、社員に衝突は良いものになりうることを説明する時、"メタファー(隠喩)"を用いると良いという。記事では、テントの設営に喩え"全員が同じ方向に引っ張ってはテントは張れないが、それぞれの方向に引っ張ると張ることができる。その時、誰か一人が強くひっぱりすぎてはうまく張れない。"と説明する。相手をヘコませるのでは無くテントを広げるのである。そのような喩えを使いながら、メンバーの役割とその価値を明確にして、緊張感のある会話や意思決定プロセスを構築すると良いという。

それでも、これまで正しい衝突をしていないチームがいきなり議論したり、衝突するチームに変わることはないだろう。そこで記事では、衝突を回避することから衝突を受け入れるようマインドセットを変えるために、リーダーはメンバーに反対意見を述べることを義務付けてはどうかと提案する。いつも"賛成です""合意します"と言っているメンバーに、丸ごと合意するのではなく自分独自の価値を見せ、新しいアイディアを示すように求めるのだ。このように意思決定プロセスで正しい衝突が起こるようになれば、皆がもっと真剣になり、自分が関与したと感じるだろう。決定事項がうまくいかないことはあっても、学びも大きいだろう。

衝突を避けやすいのは家族経営の企業、非営利団体、B-Corpなどの公益をミッションとする営利団体などに多いという。また記事によると、衝突する必要を認識していない人、自己中心的な理由で悪質に人と喧嘩する人の両極端なところから、それぞれ10~15%を除くと、ほとんどはトレーニングにより正しい衝突ができる人だという心理学者で書籍「The Good Fight: Use Productive Conflict to Get Your Team and Organization Back on Track(生産的な対立を活用してチームと組織を軌道に乗せる)」の著者であるLiane Davey氏の提案を紹介している。