EUVでの本格量産をSamsungが開始
Samsung Electronicsは2月20日、韓国ソウルの南に位置する京畿道華城(ファソン)市内にある華城工場に2019年秋に竣工したEUVリソグラフィを活用した先端プロセスでの製造を担当する「V1ライン」にて量産を開始したことを発表した。
V1ラインは、EUVリソグラフィの工程専用ラインで、7nm以下のプロセスノードを使用する自社ならびに受託生産のロジックデバイスを生産する。2018年2月に着工、2019年秋に竣工して以降、量産に向けた評価が進めらてきた。同ライン初の製品となるのは7nmプロセスを採用したモバイル機器向けSoCで、2020年第1四半期中に顧客に提供される予定だという。
同ラインは現在、7nmのほか、6nmプロセスでもロジックデバイスを生産することが可能であり、将来的には3nmプロセスまで対応する計画であるという。同社は、EUVリソグラフィの量産適用で5G、AI、自動運転など次世代のアプリケーションに最適な選択肢を提供することが可能になったとしており、自社のファウンドリビジネスの事業拡大を目指すとしている。
また、同社は2020年末までに約60億ドルの設備投資を同ラインに実施する計画で、これにより同社の7nm以下のデバイスの生産能力は2019年比で3倍に向上する見通しとしており、先端デバイスを活用したいという世界的なニーズの拡大に対応するうえで、重要な役割を担うことを期待するとコメントしている。
EUVの本格導入で先行するTSMC
韓国の複数のメディアによると、Samsungの事実上のトップである李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は、V1での量産開始の発表に合わせて2月20日に同ラインの視察を行い、従業員たちを前に激励を行ったとしているが、韓国の半導体関係者からは、Samsungが2030年までに半導体事業に133兆ウォン(約13兆円)の巨額投資を行う「半導体ビジョン2030」の取り組みに弾みをつけるための訪問として見られている模様だ。
市場動向調査会社である台湾TrendForceの調査によると、2019年第4四半期(10-12月期)のファウンドリ市場シェアはSamsungが17.8%(社内向けロジックLSIを含む)の2位ながら、トップのTSMCが52.7%と2位以下に圧倒的な差をつけているほか、EUVを用いた7/5nmプロセスの量産でもTSMCが先行していることもあり、今回のEUVの本格導入でSamsungがどこまで追い上げるのかが注目される。
なお、Samsungのファウンドリ事業部門であるSamsung Foundryは、今回量産を開始したV1ラインに加え、韓国器興(キフン)に2ライン、韓国華城に2ライン、米国テキサス州オースチンに1ラインの合計6ライン(8インチライン×1、12インチライン×5)を稼働させている。