IC Insightsは、2019年12月時点における世界の半導体生産能力(前工程)について、上位5社が占める割合が2009年には36%であったものが、2019年には53%に到達。生産における寡占化が進みつつあるとの調査結果を発表した。

2019年時点の生産能力上位5社は以下の通り。

  1. Samsung Electronics
  2. TSMC
  3. Micron Technology
  4. SK Hynix
  5. キオクシア/Western Digital(四日市工場にて協業)

いずれも月間生産能力は100万枚(200mmウェハ換算かつ投入ベースの枚数)を超す規模を維持。6位以下は、Intel(81.7万枚/月)、UMC(75.3万枚/月)、GlobalFoundries(GF)、Texas Instruments、STMicroelectronicsとなっているが、いずれも月産能力は100万枚未満となっている。

  • IC Insights

    2019年12月時点の世界の月間半導体生産能力トップ5(200mm換算、投入ベース) (出所:IC Insights)

生産能力トップのSamsungの規模は月産290万枚(200mm換算)で、同社だけで世界の生産能力の15.0%を占めている。内訳としては、約2/3がDRAMおよびNAND向けで、現在、同社が進めている主要な新工場のプロジェクトとして、韓国の華城(ファソン)と平沢(ピョンテク)、および中国の西安にある3D-NAND工場がある。

2位のTSMCは押しも押されぬ世界最大の専業ファウンドリ。月産規模は約250万枚(同)で、世界の生産能力の12.8%を占めている。同社は現在、台湾の台中にあるFab15にフェーズ9/フェーズ10の製造ラインの追加、ならびに台南のFab14近くに5nmプロセスの生産を担うFab18を建設しており、2020年からの生産開始を予定している。

3位のMicronは世界の生産能力の9.4%を占めているが、2019年の1年間でシンガポールに新たに300mmウェハ工場を開設したほか、米ユタ州リーハイにてIntelとの合弁で稼働していたIM Flash TechnologiesのIntel分の株式を取得したことで前年比で9%の生産能力向上を果たしている。同社はまた、2020年に米バージニア州マナッサスに2棟目となる工場を開設する予定としている。

4位のSK Hynixの生産能力は全世界の8.9%で、その80%以上がDRAMおよびNANDの製造で用いられている。2019年に同社は新工場として、韓国・清州(チョンジュ)のM15と、中国・無錫に2棟目となるDRAM工場C2Fの建設を完了している。現在の大きな新工場プロジェクトとしては、韓国・利川(イチョン)本社工場内で進めるM16で、将来的には、ソウル近郊の龍仁(ヨンイン)にも巨大な半導体工場群を建設し、利川、清州の拠点と半導体製造トライアングルを構築することを計画している。

そして5位がキオクシア(旧 東芝メモリ)とWestern Digitalのパートナーシップによるもので、現在は日本の四日市工場だけで全世界の7.2%を占める規模を有している。ちなみに、別会社となった東芝の生産能力はこの値には含まれていない。

なお、業界の5大専業ファウンドリであるTSMC、GF、UMC、中SMIC、および台Powerchip(中国の合弁会社Nexchipを含む)は、生産能力ランキングでトップ12までにランクインしており、5社合計で月産約480万枚の生産能力を持ち、これは世界の半導体生産能力の約24%に相当しているという。