NTTドコモとSAPジャパンは2月14日、中小・中堅建設企業向けのクラウド統合基幹業務システム「ランドログERP(仮称)」の共同検討の開始に合意した。両社は、同システムの2020年度下期の提供を目指し、連携を強化するとともに、現場での導入検証に協力可能な試験導入企業と、統合システム拡大に向けた連携パートナーの募集も開始する。
中小・中堅建設企業は建設現場だけではなく、事務作業の効率化や生産性向上、働き方改革を目的に工事書類の一元管理や工事原価の管理など経営管理のICT化を進めているが、実際は各々の仕組みが独立してリアルタイムにつながっていない状況だと指摘。
同システムの検討は、現在各々が独立している工事原価管理・財務会計・販売管理・購買管理・顧客管理などの経営管理情報をクラウド上で一元管理することで生産性向上を推進する取り組みとなる。
また、両社は同システムにドコモとSAPジャパンが出資するランドログの建設業界向けのIoTプラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」が持つIoTデータと連携することで、工事の進捗状況をプロジェクト管理システムや会計システムにリアルタイムに反映し、月中での予算進捗状況をリアルタイムに確認できる機能や建設業界特有の会計機能をSAP Business Oneをベースに追加開発して搭載するほか、同システムを中小・中堅建設企業が導入しやすい価格で提供することを目指している。
同システムの検討開始にあたり、試験導入し、生産性向上と働き方改革の実現に向け、導入効果を定量的に検証・協力可能な試験導入企業、および金融・保険・人事・労務システムなど統合・連携するシステムの拡大を目指す連携パートナーの募集も「ランドログパートナー制度」を通じて開始する。
試験導入による効果検証としては、福島県会津若松市の「SAPイノベーションフィールド福島」を活用し、地元建設企業による実証実験も検討していることに加え、第1弾の連携パートナーとして、東京海上日動火災保険と、同システムから収集されたERPデータを利用して損害保険引き受けに関するサービスの高度化や保険金支払い業務の効率化、および人事・労務システムとの連携などについて検討を開始する予定だという。
今後、両社は実際に工事が行われている建設現場だけでなく、会社経営を支えるさまざまな業務をICTの活用で効率化し、建設業界が抱える課題を解決する取り組みを推進していく考えだ。