マイクロソフトは2月6日、IoTに関するイベント「IoT in Action」を東京有明で開催した。このイベントは、2017年から世界中の33都市で開催している。東京開催は今回で3回目となる。
オカムラのオフィス家具IoTサービスモデルとは
基調講演では、2月5日にオカムラが発表したオフィス家具IoTサービスモデルの開発について説明が行われた。
オカムラが発表したのは、オフィス家具にセンサーを搭載し、設置場所や使用頻度をセンシングしてデータ化。併せて、オフィスでの人の動きと場の評価もデータ化し、これらの情報をクラウド(Azure)に集約し、座席単位、部屋単位、テナント単位でのオフィスの使用状況を可視化する。
これらのデータを分析することで、使用状況に合わせたレイアウト変更やオフィス家具の消耗度合いの把握が可能となり、より効果的なオフィス家具の配置提案や消耗度合いに応じたメンテナンス対応など、オフィス家具を使用する企業への細やかなフォローを行うことが可能となるとしている。
例えば、利用状況応じてオフィス家具の配置や向きを変更して最適化する、空きスペースの有効活用、会議室予約の調整や会議室の構築計画、ニーズのある家具への交換などが可能になるとしている。
同社は今後、昨年東京・丸の内に開設した会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi(ポイントゼロ マルノウチ)」においてオフィス家具IoTサービスモデルの実証実験を年内に行い、2021年には実用化したい考えだ。
取り付けるセンサーとしては、着席/離籍、位置、加速度、傾きのほか、温度、湿度などさまざまなものが考えられるが、費用等も考慮し、どこまで測定するのか、どんなセンサーを搭載するかは今後決定するという。
センサー等は、同社の製品に最初から組み込んで提供する方法と、他社製品含め、後付けで行うパターンの両方を提供する予定で、「最初から組み込んで提供する場合は、オフィスの利用状況だけでなく、配送などのトレーサビリティの向上でも利用できる」(オカムラ 上席執行役員 マーケティング本部長 荒川和巳氏)とした。
ただ、オカムラではレイアウト変更時に活用するような一時的なものではなく、常に活用状況を把握し、改善を行うような利用を考えているという。
荒川氏は「これまでのオフィスは事務作業を行う部屋であったが、これからは仕事をする場(Work Place)にしていかなければならない。そのためには、IoTや最新の働き方に対応したオフィスにする必要がある」と語った。
また、オカムラ マーケティング本部 DX推進室 室長 遅野井宏氏は、「これまでオフィスは経営層からは投資の対象として見られなかったが、利用状況を見える化することで、戦略的投資の対象になる」と述べた。
同社では、椅子から対応をスタートし、2025年までにすべてのオフィス家具にセンサーを取り付けたい考えだ。
また、将来は空調や照明、複合機などのデータとも連携させたい考えで、「point 0 marunouchi」に参加する空調のダイキンや照明のPanasonicとすでに連携に向けた取り組みを開始しているという。
基調講演に登壇した日本マイクロソフト IoTデバイス本部長 業務執行役員 菖蒲谷雄氏はIoT活用する上では、コミュニティを活用し実践していくこと、パートナーのソリューションを活用すること、テクノロジーを理解し自社での活用のヒントにすることが重要であり、今回のイベントがそのきっかけになればと挨拶した。
IoTビジネス共創ラボは地方に注力
IoTのコミュニティ活動として同社が注力するのが、2016年発足した「IoTビジネス共創ラボ」だ。設立当初は10社だったメンバーも、2020年1月15日現在では656社に拡大している。
同ラボでは、ビジネスワーキンググループ、製造ワーキンググループ、物流・社会インフラワーキンググループ、ヘルスケアワーキンググループ、分析ワーキンググループ、Pepper ワーキンググループ、ドローンワーキンググループ、xR(VR/AR/MR) ワーキンググループの8つのワーキンググループに分かれて活動している。
最近は地方の活動にも注力しており、北海道、長野、宮城、福島、川崎、柏の葉、金沢、中部の8地域で地域版を設立。地域経済の停滞、就労人口減少、後継者不足、経験と勘でのもの作り、薬品や食の安全、省エネルギー化への対応などの課題に取り組んでいるという。すでに福島、川崎、金沢、名古屋では実用化の事例が生まれているという。
幹事社である東京エレクトロンデバイス クラウドIoTカンパニーエンベデッドソリューション部 福田良平氏は「今後も地域版を発展させていきたい」と語った。