厚生労働省は5日午前、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客乗員を検疫した結果、10人に新型コロナウイルスの陽性が確認されたと発表した。加藤勝信厚労相の記者会見などによると、10人のうち3人は日本国籍の男女。同省は感染症法に基づいて10人の入院措置を取った。日本国内で報告された感染者は33人となった。同日午前時点の統計によると、中国以外の国で日本が最多の感染者数となっている。中国での感染者は同日午前の時点で2万4000人を超え、死者は500人に迫っている。
日本政府は、厚生労働省を中心に関係各省庁と全国の保健衛生当局が連携して国内の感染拡大防止策を進めている。さらに、国立感染症研究所が新型コロナウイルスの分離・培養に成功したことを受けてワクチン開発の支援を進める方針だ。
厚生労働省によると、クルーズ船に乗っていた男性が香港で下船した後、新型コロナウイルスに感染していたことが2日までに分かった。このため同省は4日、横浜港の沖合に3日夜から停泊中の船内で、乗客乗員合わせて約3700人を対象に検疫を行った。具体的には乗客乗員全員の健康チェックを実施し、症状があったり、感染が確認された香港の男性と濃厚接触があった人を対象に計273人の検体を採取した。このうち5日午前時点で10人に新型コロナウイルスの陽性反応があり、感染していると判明した。下船後に感染が分かった香港の男性から拡大したとみられている。今後船内の感染者は増える可能性があるという。
厚生労働省のまとめによると、中国以外の国・地域で確認された新型コロナウイルス感染者数は、4日時点で27カ国、200人を超えている。このうち多いのはタイの25人、シンガポールの24人、日本で23人、香港で18人、韓国で16人などだった。5日午前の時点で、日本国内で確認された感染者は33人を数え、最多の国となっている。
新型コロナウイルスについては世界の主な感染症の研究所が研究を続けている。このうち日本の国立感染症研究所は1月31日に、採取した検体からウイルスを分離することに成功したと発表。感染の仕組みを調べたり、治療薬やワクチン開発の研究に役立つと期待されている。同研究所によると、分離したウイルスの遺伝子配列は、中国で分離されたウイルスと99.9%同じで、現時点では、感染力や病原性に関わる大きな変異はないという。
新型コロナウイルスは感染が拡大する過程で変異する可能性もあり、ワクチン開発は簡単ではないが、政府は厚生労働省が中心になって、感染の有無を調べる簡易検査キットやワクチンの開発を支援していく方針だ。
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