デロイト トーマツ グループが発表した「働き方改革の実態調査 2020」の結果によると、働き方改革実施企業は約9割に及ぶが効果を実感している企業は半数に留まり、重視している目的のうち「従業員満足度の向上・リテンション」「多様な人材の維持獲得、D&I促進」「採用競争力強化」で効果の実感度合が低いという。

  • 働き方改革の取り組み状況

同調査は同グループが2019年10月25日から12月27日にかけて実施したものであり、有効回答数は277社。

なお同社は、同調査を2013年から継続して実施しているとのこと。

働き方改革の取り組み状況を見ると、「働き方改革を推進中」または「実施した」と回答した企業は約9割に達し、調査開始時の2013年から大きく増加、2017年と比較しても16ポイント増加しており、働き方改革の着手はほぼ一巡しているという。

また、2割が働き方改革を実施したと回答しており、働き方改革を終えたとみられる企業も2017年から倍増した。

一方で、働き方改革の各目的に対して効果を実感している割合は半数程度に留まっており、企業の働き方改革はまだ道半ばだと同社は見ている。

働き方改革を実施する目的では、「従業員満足度の向上・リテンション」が88%で最も多く、以下「多様な人材の維持獲得、D&I促進」(67%)、「採用競争力強化」「コンプライアンス対応」(いずれも50%)と続く。

人材不足を背景に企業が従業員の定着と新規採用の強化を目指し、人材目線での働き方改革を推進していることがうかがえるという。

  • 働き方改革の目的

企業が実際に検討している施策を見ると、「長時間労働の是正」が95%とほぼすべての企業が検討しており、働き方改革関連法の施行などを背景に取り組みを推進している。 「業務プロセス・ルールの見直し」など生産性向上に向けた既存業務の効率化がこれに続き、「オフィス外勤務の促進」「組織風土改革」「オフィス環境の整備」といった多様な働き方を推進する施策も上位に挙がった。

  • 働き方改革の施策内容

その他では、「副業・兼業の推奨」が14%と2018年と比べて12ポイント増加しており、エンプロイーエクスペリエンスを重視した施策が注目されているという。

目的別の効果の実感度では、残業時間に制限を設けるなどの「コンプライアンス対応」は80%と高いが、働き方改革の目的として最も多く挙がった「従業員満足度の向上・リテンション」は61%、「多様な人材の維持獲得、D&I促進」は54%、「採用競争力強化」は48%と、重視している目的でも効果をまだ実感していないものもある。

  • 目的に対する効果の実感度

他に効果実感度が高い目的としては、「デジタルトランスフォーメーション推進」や「セキュリティリスク低減」などテクノロジーを利用したものも見られるが、これらを働き方改革の目的として重視している企業は少なく、企業によって検討している施策が大きく異なるとしている。