半導体市場動向調査会社である米IC Insightsは、過去41年間(1978-2019年)におよぶ半導体業界の売上高に占める開発研究費の割合を調べた結果を発表した。それによると、業界全体の売上高に対する研究開発費の割合は平均14.6%であったという。
集計の対象となったのは、垂直統合型の半導体デバイスメーカー(IDM)、ファブレス半導体メーカーとファウンドリで、半導体装置・材料メーカー、実装およびテストサービス提供企業、大学、政府系研究機関、業界のコンソーシアム的な研究機関であるベルギーimec、仏CAE-Leti Institute、台湾Industrial Technology Research Institute(ITRI)、米Sematech(2015年にニューヨーク州立大学に統合)などは除外されている。
2000年以降で見ると、2000年、2010年、2017年、2018年を除くすべての年で平均を上回る結果となった。例外となった4年についても、研究開発費が抑えられたのではなく、むしろ半導体バブルで売上高が拡大した結果、分母の割合が大きくなったためで、市場の拡大とともに研究開発費も増回傾向が続いている。
例えば2009年の比率は17.4%であったが、2014年には15.7%へと下落。その後、メモリバブルに沸いた2017年で13.5%、2018年で13.0%と平均を下回った。ただし、2019年はメモリバブルが崩壊し、半導体市場が前年比12%減となったこともあり、14.6%へと比率は平均値レベルに揺り戻されている。
2019-2024年の研究開発費の伸び率は4.4%
これまで半導体業界は、売上高に占める研究開発費の割合がらの主要産業と比べても高い値であった。しかし、2019年は製薬・バイオ業界が15.4%となり、半導体業界を抜き去る結果となったという。
ただし、上述したように決して半導体業界の研究開発費が削減されているわけではない。むしろ、More Moore、More than Mooreの実現に向け、新規材料探索、プロセスのさらなる微細化、新たな製造プロセスの開発、高度なパッケージング技術の確立など、高いレベルで研究開発を継続していく必要があるため、その絶対額は高いレベルを維持し、かつ長期的にも増加していくことが見込まれ、2019年~2024年にかけての研究開発費の伸び率は平均4.4%と、その前の区切り(2014~2019年)の3.9%よりも高くなるとIC Insightsでは予測している。