MMD研究所は2月5日、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)と共同で、2019年12月13日~12月22日に「2020年キャッシュレス・消費者還元事業における利用者実態調査」を実施し、前回の第1弾に続いて第2弾を発表した。同調査の対象者は月に1回以上キャッシュレス決済を利用している20歳~69歳の男女1500人。

前回の第1弾の調査では、10月から実施されている「キャッシュレス・消費者還元事業」の認知および理解、キャッシュレス決済の利用種別や利用場所の実態を発表し、同事業は全体の約9割の人が認知しており、約4割の人が事業実施後にキャッシュレス決済での支払いが増加していると回答していた。

第2弾は前回の調査に加え、両社はキャッシュレス決済利用者調査を実施し、キャッシュレス決済を利用している「人」やキャッシュレスの「種類」に焦点を当て、キャッシュレス決済の利用理由やキャッシュレス決済に抱くイメージ、キャッシュレス社会に求めるものなどを調査した。

月に1回以上キャッシュレス決済を利用している20歳~69歳の男女1500人に「キャッシュレス決済のイメージに関してあてはまるもの」として、対比した9項目を聞いたところ「支払いがスピーディー(47.1%)」がトップ、次いで「お得である(34.5%)」と、支払いの早さとお得感の2つのポジティブな要素が高い結果となった一方で「お金を使いすぎてしまう(24.4%)」と、お金の管理に関する課題を感じていることも分かった。上位5項目を20代~60代の年代別でみると「支払いがスピーディー」「お得である」は20代、「お金を使いすぎてしまう」は50代、「日常使いにしたい」「実用的だと感じる」は60代がそれぞれ最も高い結果となった。

  • キャッシュレス決済のイメージ

    キャッシュレス決済のイメージ

また「現金ではなくキャッシュレス決済を利用する理由」をキャッシュレス決済方法別に聞いたところ(複数回答)、決済手段を問わず、全体的に「ポイントがたくさん貯まる」が最も高く、クレジットカードでは41.4%と最も高かったほか、デビットカードは「素早く会計したい」が最も高い理由となった。特に、利用の多いキャッシュレス決済種別3つを比べると、クレジットカードは「利用できる場所が多い(17.1%)」、電子マネー(カード型タイプ)は「素早く会計したい(25.6%)」、QRコード決済は「キャンペーンが魅力的(20.9%)」がそれぞれ他のキャッシュレス決済種類に比べて高い特徴があった。

  • キャッシュレス決済を利用する理由

    キャッシュレス決済を利用する理由

さらに「キャッシュレス決済の利用場所として最も多い場所」を1つだけ聞いたところ、クレジットカードとデビットカードは「スーパーマーケット」、電子マネー(カード型タイプ)、QRコード決済、電子マネー(スマートフォン)、プリペイドカードは「コンビニエンスストア」が最も高く、決済種別で比較するとスーパーマーケットはクレジットカードの利用が30.5%、コンビニエンスストアはQRコード決済の利用が45.9%で最も高かった。

全体的に見ると、スーパーマーケットとコンビニエンスストアの利用が他の場所と比べて10ポイント以上高く、キャッシュレス決済が日常的に利用されていることがわかるという。最も利用されているスーパーマーケット、コンビニエンスストアとクレジットカード、QRコード決済を比較すると、スーパーマーケットの利用はクレジットカードの30.5%に比べ、QRコード決済は15.2%、コンビニエンスストアの利用はQRコード決済の45.9%に比べ、クレジットカードは7.5%となり、それぞれの特徴が出る結果となった。

  • キャッシュレス決済の利用場所として最も多い場所

    キャッシュレス決済の利用場所として最も多い場所

続いて「キャッシュレス決済全体に求めるもの」を聞いたところ(複数回答)、「ポイントが貯まりやすい(49.5%)」が最も高く、次いで「安心して利用できる(46.5%)」、「利用できる場所が多い(43.1%)」、「簡単に利用できる(37.7%)」と4項目が高い回答となった。年代別にみると、若年層はポイントが貯まりやすいが高いが、50代以上になるとポイントが貯まりやすいということよりも安心して利用できるというポイントが高くなり、また若年層に比べて利用できる場所や簡単な利用方法をより強く求めている。この結果からキャッシュレス決済にはお得さや安心感、日常的に利用できることが重要視されていることが分かったという。

  • キャッシュレス決済に求めるもの

    キャッシュレス決済に求めるもの

加えて「キャッシュレス決済のポイント還元事業が終わったら、キャッシュレス決済の利用頻度はどう変わると思うか」を聞いたところ、「増えると思う(18.6%)」が「減ると思う(12.9%)」と比べ約5ポイント上回った。性年代別に「増えると思う」「減ると思う」を比較したところ、男性の20代と30代、女性の20代は「増えると思う」が「減ると思う」を大きく上回った。女性の50代は「増えると思う」と「減ると思う」が同数値、女性の60代は「減ると思う」が「増えると思う」を上回り、若年層になるほどキャッシュレスへの期待が大きいことがわかった。