NECとビー・ビー・バックボーン(BBバックボーン)は2月5日、sXGP(shared eXtended Global Platform)に対応したプライベートLTEシステムおよび関連サービスの提供を同25日から開始すると発表した。
プライベートLTEは、企業・団体などが運用する専用のローカル無線通信ネットワークの1つで、LTE方式を用いて、病院や工場・倉庫などで特定の用途向けに独自のLTEネットワークを構築することを可能としている。プライベートLTEのうち、1.9GHzの周波数帯を使用した自営通信用TD-LTE規格(3GPPで標準化されたLTEの通信規格の1つ)であるsXGPは、無線免許の申請や無線従事者の設置が不要で手軽に利用開始できるという。
NECは、昨年7月にsXGP対応のアクセスポイント(AP)およびAPコントローラを開発したが、今回BBバックボーンと共同でSIM情報をスタンドアロンのAPコントローラにも提供できる新方式を開発し、同方式を適用したプライベートLTEシステムおよび関連サービスを提供する。
新システムの主な特徴として、APとAPコントローラ間で通信する制御信号パケットとデータ信号パケットのうち、データ信号パケットについて、APコントローラを介さずに直接LANを通じてアプリケーションサーバと通信する「ローカルブレークアウト機能」を搭載し、APコントローラの処理負荷を軽減してsXGPシステム全体の可用性を向上している。
また、TD-LTEではGPS信号を各APに接続し、AP間のシステム同期と周波数の精度確保が必要だが、同システムではGPSアンテナに接続したマスターAPと近くのAPがsXGP無線信号に同期する「Air同期機能」を搭載しており、全APへのGPS信号の接続が不要になり、工事費の削減が可能だという
さらに、小規模ネットワーク向けにAPコントローラ機能を有する「アプリケーションユニット」を2020年度にリリース予定。本ユニットをNECのキーテレフォンシステム(主装置)に搭載することが可能で、工事や保守が簡易になり、設置場所の省スペース化も実現。
一方、両社が共同で開発したSIM情報提供方式の特徴は、SIMに書き込まれているIMSI(International Mobile Subscriber Identity)情報については、ARIB STD(電波産業会(ARIB)による標準規格)で管理方法が定義されており、厳格な管理運用が必要だが、BBバックボーンのキャリアグレードの運用ノウハウにより実現しているという。 加えて、SIM情報はネットワーク経由での提供が基本ですが、オンプレミス型のAPコントローラで、かつ外部ネットワークとの接続がないシステムで利用可能なため、USBメモリによる提供にも対応。
なお、各社の役割としてNECはsXGP対応APおよびAPコントローラと、それらと連携するPBX/キーテレフォンシステム、産業用デバイス(2020年度予定)、プロフェッショナルサービス(現地調査、無線回線設計、機器セットアップなど)まで、エンドツーエンドでソリューションを、BBバックボーンはsXGP用SIMの開発・調達・契約、SIM情報管理・流通管理、公衆回線サービス(MVNO)および閉域網回線サービスをそれぞれ提供する。
NECは、sXGP対応APとAPコントローラを2022年度までに累計1000システム以上の提供を目指すとともに、BBバックボーンはsXGPシステムに対応するサービスを提供中でだが、今回販売開始するNECの新システムにも対応していく。