ニールセン デジタルは1月31日、スマートフォン視聴率情報である「ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView)」のデータを基に、2019年の12月の日本における無料/有料動画アプリの利用状況を発表した。これによると2019年は、「TVer」などの見逃し配信の利用拡大や、有料動画サービスでは「Disney DELUXE」がサービス開始するなど、オンライン動画市場全体で活発な動きが見られたという。

  • 動画アプリの利用者数推移

2019年12月におけるスマートフォンアプリからの無料動画と有料動画の利用者数(上位5アプリを集計)を見ると、無料動画は2018年12月から6%増加して4886万人、有料動画は同40%増加して1170万人だった。

無料動画の増加率が1桁だったのに対して有料動画は増加率が加速し、1000万人を超える規模に成長した。

ここ数年、有料動画サービス各社がオリジナルコンテンツに力を入れる中で、日本独自のコンテンツも充実し、スマートフォンでの視聴環境の整備も進んできたという。これらの要素が、有料動画の視聴の成長に影響したと同社は考えている。増加率も年々増えていることから、2020年も引き続き利用者数拡大が期待できるのではないかとのこと。

  • 動画アプリの月間利用回数と利用時間の男女比較

男女別の各動画アプリの利用回数と利用時間に目を転じると、無料動画アプリは利用者数の多さに加えて利用回数も有料動画アプリより多く、男性では月間平均44回、女性では35回と1日1回以上利用している。

無料動画アプリの利用者数では女性が多かったのに対して、利用回数と時間は男性の方が多く、エンゲージメントが高いという。

一方で、有料動画アプリでは女性のエンゲージメントが男性よりも高く、月間平均17回、合計約3時間利用していた。

  • 有料動画アプリの男女別利用時間シェア

有料動画アプリ上位5サービスの利用時間シェアを男女別に比較すると、男女共に「Amazon Prime Video」が最も多く、約60%を占めている。

2位以降のサービスでは男女で結果が異なり、男性は「U-NEXT」、女性は「Netflix」が2番目に多く、それぞれ利用時間の16%、15%を占めた。また女性では「dTV」の利用時間シェアも高く、全体の10%を占める。

同社アナリストのコヴァリョヴァ・ソフィヤ氏は、「今後も視聴者が自分の嗜好や視聴スタイルに合わせてサービスを選択する傾向は強くなり、また各社がどのようなコンテンツカテゴリーに力を入れていくのかによっても市場ダイナミクスは変わってくるでしょう。このような環境で、コンテンツを提供する企業としては、消費者のサービス利用傾向の変化を把握することが求められており、常に消費者の視聴トレンドを追いながら最適にアプローチできるサービスを選択していくことが重要となります」と述べている。