日立ハイテクノロジーズ(日立ハイテク)は1月30日、歩行動作の分析から筋肉・骨格に関する運動器の機能低下要因の推定および改善につながるトレーニングメニューの提案をAI(人工知能)により自動で実施するシステムを開発したと発表した。
近年、高齢化が進む中で「健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間(健康寿命)」が注目されており、健康寿命に影響を与える大きな要因の1つとして運動器(骨、関節、筋肉、靱帯、神経など人間のからだの動きに関わる組織の総称)の障害があり、運動器の機能低下は40代から始まり、将来の要介護状態の原因になるとされ、中高齢者を中心に健康増進や未病の改善、運動器疾患の予防の重要性が高まっているという。
同社グループでは、オープンイノベーションを通じて社外の技術やビジネスとの融合を活用し、新事業の創生を推進しており、一例として2016年から北海道大学大学院医学研究院整形外科教室と共同で医療現場における疾病による歩行異常の計測・解析技術に関する研究に取り組んでいる。
研究の成果に加え、日立製作所の研究開発グループ、松田整形外科記念病院と同病院が運営するメディカルフィットネスC-Link+の協力により、新システムを開発。専用のカメラで撮影した個人の歩行動作をAIで分析し、運動器機能低下の要因・予兆となる歩行動作のパターンを特定することに加え、個人の歩行パターンに合わせて、AIが運動器の機能低下予防および改善につながるトレーニングメニューを作成する。
従来、歩行動作の分析によるトレーニングメニューの作成には医師・理学療法士・トレーナーなどの専門的な知識や経験が必要とされていたが、新システムはC-Link+で蓄積されたノウハウを学習したAIを活用することで、フィットネスクラブにおいてトレーナー・スタッフの知識や経験に関わらず、分析データとトレーニングメニューの提供が可能になるという。
また、介護リハビリ施設においては理学療法士の機能訓練プログラム(病気や怪我、老化のために衰えた機能を回復するために行う運動療法などの訓練)の作成を支援する考えだ。