NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は1月30日、敷島製パンの直営店舗内における利用者の行動を匿名のデータとして取得し、同社ンのデジタルマーケティングに活用するスキームの実証実験を2月1日から開始すると発表した。NTT Comは、実証実験において従来定量的な把握が難しかった実店舗における利用者の行動を匿名データとしてデジタル化し、セキュアな蓄積・分析を行い、データにもとづいた店舗運営の効率化、新製品開発などのスキームを検証し、マーケティングのデジタルトランスフォーメーション(DX)実現を目指す。

一般的にECサイトにおいては、購買あるいはキャンセルに至るまでの利用者の行動を把握することが容易ですが、実店舗においては利用者の行動をデータとして把握することが難しく、この点がマーケティングのデジタル化を阻む大きな課題となっていたという。

実証実験では、NTT Comの「人流解析ソリューション」を活用し、敷島製パンの実店舗において取得したデータをクラウド上にアップロードし、行動の解析を実施。

具体的には、人流解析ソリューションで来店した利用者のスマートフォンが発する信号を利用して人の流れを把握し、店舗内に設置したビーコンがスマートフォンの匿名位置情報を自動で収集・解析する仕組みとなっている。小型のビーコンを使用し、設定も簡単なため店舗側は容易に導入することが可能。また、店舗利用者も専用アプリをインストールしたり登録作業をしたりする必要がないという。

また、店舗利用者の名前や住所といった個人情報を一切取得せず、匿名データとして行動を解析することができ、店舗に来店した人数に加え、来店頻度、店舗内の回遊パターンなどを分析することが可能だという。なお、クラウドにデータをアップロードする際には認証サーバを用い、セキュアに蓄積や分析を行う。

  • 実証実験のイメージ

    実証実験のイメージ

敷島製パンはデータを活用し、直営店舗のPasco北海道プレミアム(新千歳空港内)・Pasco夢パン工房野幌店(北海道江別市)におけるマーケティング戦略の立案を行い、期間は2月1日から12月末までを予定している。

各社の役割として、NTT Comはデータ収集・蓄積・分析機能(ビーコン、クラウドサービスなど)の提供、敷島製パンは実証実験店舗の提供・データ活用施策の実施を担う。今後、両社は取得したデータを店舗の混雑状況の把握や予測、売れ筋の商品を置く場所の最適化に活用するほか、人員配置の最適化や出店計画などにも活用していく考えだ。