茨城交通、みちのりホールディングス(みちのり HD)、日立製作所などで構成される日立市新モビリティ協議会は1月29日、2月から日立地域においてMaaS(Mobility as a Service)の実証実験をスタートすると発表した。実証は、国土交通省の「新モビリティサービス推進事業」および経済産業省の「スマートモビリティチャレンジ」の採択を受けて行う。
実証は、都市部のように交通手段が充実しておらず、自家用車への依存度が高い地方部においてMaaSの導入により公共交通の利便性を高め、地域における社会課題の解決を目指すものとなる。具体的には2月3日~28日の期間で実証運行する①通勤時、自宅近辺のバス停を指定できる「通勤型デマンドサービス」の運行、②「大沼BRT」バス停と大沼エリアの間を相乗りタクシーで送迎する「ラストワンマイル型デマンドサービス」を提供。
通勤型デマンドサービスは、日立グループ社員のみを対象とした朝夕1便づつ運行するデマンドバス。朝は勝田・東海エリアを出発し、大みか事業所など日立の事業所を経由して日立研究所まで運行する。夕方は、その逆のルートを運行し、ルート上にオンデマンドバス停を多数設置しているため、利用者が自宅近くで乗降することができる。利用者はアプリから乗降を希望するバス停を指定して予約し、バスは予約のあるバス停のみに停車し、運賃は片道500円でアプリ上で決済する。
ラストワンマイル型デマンドサービスは茨城交通のバス停「大沼BRT」を利用する住民を対象に運行するサービスとなり、利用者がアプリから予約すると無料タクシーがバス停と自宅間を送迎し、予約が複数入れば相乗りで運行する。
これらのサービスは茨城県内の移動手段を検索できるアプリ「Hitachi City MaaS Project」で予約できる。「Hitachi City MaaS Project」で予約でき、同アプリはナビタイムジャパンの経路検索技術と交通データを活用し、茨城県内の既存の鉄道、バス、BRT、タクシーと徒歩を組み合わせた経路検索を可能としている。
同アプリの利用データや交通機関の運行データの可視化・分析を実施し、将来的には新たなモビリティサービスの導入やMaaSによる交通サービスの連携の計画、実績の評価などにより、都市全体で公共交通を最適化するためのデータプラットフォームの提供を目指す。
今後、日立市では地域にいけるMaaSの取り組みにおいて来年度以降もサービス機能の強化、参加事業者の拡大、新たな交通手段を提供することで、利便性の改善、サービスの拡充を図る、また、MaaSアプリに必要なデータやシステム利用環境を整備することで、他地域で開発が進む多様なMaaSアプリでも日立エリアでサービスが利用できるようにオープン化することを目指す方針だ。