映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』では、主人公のサラ―・コナーが、当局から追跡されることを回避するため、スマートフォンをポテトチップスの空き袋に入れて持ち歩いていた。それは、アルミ箔がGPS信号を遮断すると言われているからだ。
カスペルスキーは、ポテトチップスの空き袋が本当にスマートフォンの追跡をブロックできるのか、テストを行ってみたという。その結果を公式ブログターミネーター 6/3:サラ・コナーとポテトチップスの袋で公開している。
テストの結果を紹介する前に、スマートフォンの追跡の仕組みを整理しておきたい。最近のスマートフォンは、GPSの衛星信号、最寄りの携帯電話基地局、Wi-Fiのアクセスポイントなどを用いて、現在位置を判定する。
しかし、カスペルスキーは「GPSや携帯電話基地局は怖くない」と指摘している。というのも、スマートフォンはGPS信号を受信して現在位置を判断するが、GPSは何も発信しないからだ。また、電話基地局も電話の位置を判断できますが、精度はそれほど高くないという。加えて、各種アプリは具体的なGPS座標を外部に発信できるが、それにはインターネットへのアクセスが必要となる。
こうしたことから、追跡を逃れるために電波を防御すべきなのは、GPSではなくWi-Fiなどのネットワークとなる。
そして、ポテトチップスの袋を用いて追跡を遮断する方法は、183年前に証明された、ファラデーケージの原理に基づいているという。理論上、ファラデーケージはWi-Fi、GPS、携帯電話など、あらゆる無線信号を遮断するとされている。
ポテトチップスの袋で追跡を阻止する実験の結果は?
カスペルスキーは同社の製品「Kaspersky Safe Kids」を用いて実験を実施。このアプリは、子供の正確な位置情報を提供するほか、スマートフォン上で携帯電話ネットワーク、GPS、Wi-Fiの機能が稼働しているかどうかを判断する。
実験では、キッズモードに設定されたテスト用デバイスにKaspersky Safe Kidsをインストールし、4G回線でのインターネットアクセスを可能にした状態で、デバイスをポテトチップスの空き袋やクッキーの空き缶に入れてオフィスの周辺を歩き回った。
まず、クッキー缶に関しては、信号を確実に妨害するものもあれば、GPS衛星の信号だけを、それも(いずれにしろ信号が微弱な)室内で阻止しただけのものもあり、どれが効果を発揮するのか予測がつかなかったという。
対するポテトチップスの袋については「見込みがある」としている。ただし、試行錯誤を重ねての結果だ。
空き袋1枚にデバイスを入れてテストしたところ、何の効果もなかった。次に、袋を2枚使ったところ、2重シールドがスマートフォンによる信号の送受信を阻止できることが判明した。さまざまなメーカーのポテトチップスの袋で試してみたが、「袋を2枚使えばいける、1枚では駄目」と同じ結果になったという。
なお、電話をかける時はポテトチップスの袋から取り出さなければならないが、その間にスマートフォンがGPS座標を送信してしまうので、携帯電話基地局が電話のおおよその現在位置を三角測量できてしまうのは避けらないと、カスペルスキーはアドバイスしている。