定型的な業務の一部はAIやRPAを活用し人の手を借りずに進められる製品やサービスが日本でも数多くローンチしており、機械学習により精度とともに生産性の向上が期待される。一方、"人"の仕事はどこが重要になっていくのだろうか。1995年設立の米国転職情報サイトのCareer Builderが、「How to reskill yourself in today's workforce」として、今の職場でどうやって新しいスキルを獲得するか?アイディアを伝えている。
20年以上、転職や職場に関わる分野についての執筆実績があるBeth Braccio Heringさんは最初に、ある転職者のケーススタディを紹介している。それまでヘッジファンドのデータサイエンティストを務めていたが、米国NBAのプロバスケットボールチームNetsの戦略家として起用されたという例。ヘッジファンドのデータサイエンティストとスポーツチームの戦略担当ーー一見無関係に見えるが、なぜ採用担当者を納得させることができたのか?
Netsが求めていたのは、選手のデータ、過去のパフォーマンスを評価して、最大のパフォーマンスが期待できるメンバー構成を見出すことができる人。対象となるものは違っても、ヘッジファンドでの数学的解析的スキルを、次はスポーツに応用するーーそうやって採用に至ったのだろう。個人が持つスキルが思わぬ分野にも応用できることがキャリア変更の際のポイントだと説いている。
スキル構築は当然に重要なものだが、企業が求めているものはその分野の技能や知識だけではないとして、どの業種でも共通したスキルとして以下の5つを紹介している。
・実行力
自分の任務を着実にこなす実行力だけでなく、チームのプロジェクトマネジメント能力、状況に柔軟に応じることができる適応力も含まれるだろう。想定外の状況や困難な場合もだ。
・人をマネジメントするスキル
自社のプロジェクトチームだけでなく、スタッフ、パートナーなど複数の立場や所属が異なる人たちをマネジメントするスキルを身につけておきたい。
・コミュニケーションのスキル
正確に、簡潔に、わかりやすい文章がかけるか/話すことができるか、そして人の話を聞いて趣旨を理解できるかーーコミュニケーションも重要なスキルだ。企業だけでなく、公共機関や非営利でも評価されるだろう。
・顧客サービスとセールスのスキル
顧客と長期的な関係を構築するスキルは、どの業界でも応用できるスキルの1つだという。セールスも然り。セールスで高いパフォーマンスが出せる人は、業界が変わっても売ることができる。
・ネゴ(交渉)のスキル
交渉の結果、企業にどのぐらいのメリットを与えることができるかーーもしあなたが営業、あるいは調達担当でこれを示すことができると、企業は評価するという。
これらはどれも、職種によっては日常的なやりとりで養うことができるスキルだ。しかも、すぐにAIが身に付けるとは考えにくいものばかり。ただ、相手は"人"である。正しいか?正しくないか?のような単純なものではなく、周囲と協調しながら進めなければならない。必ずしも簡単なスキルではないだろう。AI時代の人生100年を生きていくにあたっては、日常的にスキル向上を意識しながら仕事に取り組んでいくことが大切なのかもしれない。