中国の半導体製造装置メーカーAMEC(Advanced Micro-fabrication Equipment Company:中微半導体設備)が、2020年初頭に中国のNANDメーカーであるYMTC(Yangtze Memory Technologies Company)から先端プロセスに対応する半導体製造用ドライエッチング装置を9台受注したと、中国および韓国の複数のメディアが報じている。
YMTCはTsinghua Unigroup(清華紫光集団)傘下の半導体メーカーで、2019年秋より64層3D NANDの量産を開始。2020年末には生産能力を月産6万枚(300mmウェハ換算)まで拡大する計画を立てているが、計画は遅れがちであるという。AMECは2019年にもYMTCに13台のエッチング装置を納入しており、今回の受注は増産に備えた追加分とみられている。
TSMCの5nm装置性能認定を取得
AMTCは、2004年に上海に設立されたエッチング装置専業メーカーで、最近はALCVD装置も手掛けるようになってきた。Lam ResearchやApplied Materials(AMAT)でエッチング装置の開発を長年行ってきたGerald Z. Yin氏が設立した半導体製造装置メーカーで、現在は最先端プロセスである7nmにも対応できる製造装置を出荷できるまでに成長してきたとされる。
すでにTSMCにもエッチング装置を納入している模様で、TSMCによる5nmライン向けの装置性能認定も取得、5nm向け装置サプライチェーン入りを果たしているという。また、中国政府からの資金援助を受けて次世代となる3nmプロセス向けドライエッチング装置の開発を進めているとも言われている。
世界の半導体ドライエッチング装置市場は、これまでAMAT、Lam Research、東京エレクトロン(TEL)の3強でほぼ独占されてきたが、中国での半導体製造が活発化するとともに、AMECがシェアを伸ばそうとしている。自由貿易を阻害する米中および日韓貿易紛争下で、中国、韓国の両国はともに半導体製造装置や材料の国産化を国を挙げて推進しており、そうした動きを追い風に、先端半導体製造向けエッチング装置を商品化できるまでに成長したAMECが世界3大エッチング装置メーカーからどれだけシェアを奪っていけるのかは注目する必要があるだろう。