地質時代の中で名前がなかった約77万4千年前~12万9千年前の時期が初めて日本由来の「チバニアン(千葉時代)」と命名されることが正式に決まった。審査していた国際地質科学連合(IUGS)から連絡を受けた国立極地研究所や茨城大学、千葉大学など、約20の研究機関が参加する日本の共同研究グループが17日発表した。地質時代名は欧米の地名由来が多く、日本にちなんだものは初めて。有名な「ジュラ紀」「白亜紀」のように、教科書にも記載されることになりそうだ。

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    図 千葉セクションの場所(千葉県市原市)の位置(国立極地研究所、茨城大学、千葉大学など約20研究機関の共同研究グループ提供)

約258万年前から約1万2千年前まで続いた地質年代は「更新世」と呼ばれるが、これをさらに4つに分けたうち、約77万4千年前~12万9千年前の時期はこれまでは名前が決まっておらず、暫定的に「中期更新世」と呼ばれていた。

IUGSは地質時代の区分の境界を最も観察しやすい地層を「国際標準模式地」(GSSP)として認定、登録している。日本の共同研究グループは2017年6月、千葉県市原市の地層「千葉セクション」が中期更新世の地質時代区分境界を示すGSSPと認定するようIUGSに申請していた。

昨年11月までに3次の審査を通過し、1月17日に韓国釜山で開かれたIUGS理事会で正式に承認された。この間、申請に反対する日本国内の学者が「データに問題がある」などとIUGS側に主張して審査が一時中断するトラブルもあったが、最終的には共同研グループの主張が認められた。

現在は北極がS極、南極がN極だが、過去360万年間に地磁気が11回逆転しており、約77万年前が最後の逆転とされている。共同研究グループによると、千葉セクションにはこの約77万年前に起きた地磁気の逆転を示す証拠が、研究、観察上良好な状態で残っているという。46億年の地球の歴史のうち、人類が記録を残したのはそのごくごく一部。その大部分は地層に残る化石から生物の誕生や絶滅といった、それぞれの時代に特徴的な出来事を基に地質時代が区分されている。

共同研究グループによると、地質時代名「チバニアン」の由来となった千葉県市原市の地層は、養老川沿いの崖に露出。かつて海底にあったころに積もり、その後に盛り上がって陸地になり高さ約10メートルの崖の一部として現れている。(1) 現在と北極、南極の向きが逆だった時期、(2) 不安定だった時期、(3) 現在の北極、南極の向きとなった時期―を示す地層がきれいに積み重なっているという。

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    写真 (a)(b)(c)とも 市原市田淵の養老川岸の地層「千葉セクション」で見つかった白尾火山灰(国立極地研究所、茨城大学、千葉大学など約20研究機関の共同研究グループ提供)

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