半導体市場調査会社である米IC Insightsは、地域・国別に見た2019年の専業ファウンドリ市場の分析結果を公表し、前年比でプラス成長を達成したのは中国市場のみであったことを明らかにした。
過去10年間にわたってHiSiliconに代表されるような中国のファブレスIC企業は増加の一途を辿っており、それに併せてファウンドリに対する需要も増加してきた。2019年の専業ファウンドリ市場は、前年比2%減となる568億7500万ドルにとどまったが、半導体市場全体はメモリバブル崩壊の影響から同10%超のマイナス成長と見られていることを踏まえると健闘の部類に入ると言えるだろう。また、地域・国別としては中国の同6%増以外は、米国が同2%減、アジア・太平洋が横ばい、欧州が同11%減、日本が同13%減となっている。
専業ファウンドリにおける中国市場のシェアは20%に
専業ファウンドリ市場における中国市場のシェアは2018年には19%。成長率は前年比5%増と、専業ファウンドリ市場全体の成長を支える存在となっている。2019年は米中貿易戦争の影響もあり、中国経済が鈍化したものの、同6%増と伸びており、その結果、全体に占めるシェアも20%まで増加している。一方、日本市場のシェアは5%ほどで、年々減少傾向にあり、ファウンドリにとっての主要市場とは言えなくなってきている。
TSMCの顧客の25%を占める中国勢
専業ファウンドリ最大手のTSMCによると、2019年に同社を活用した400社以上の顧客企業のうち、約25%が中国に拠点を持つ企業だという。TSMCならびにUMCはともに2019年の中国地域での売り上げが前年比で2桁増を記録。特にUMCは同市場向けの伸びが同19%増となり、中国地域の売り上げとしては過去最高を達成したという。
この売り上げの増加は、2016年後半より稼働を開始した中国・廈門市(アモイ、Xiamen)にある同社の300mm Fab 12Xの継続的な生産能力増強によるところが大きく、現在の月産能力は約2万2700枚(300mmウェハ)であるという。
ただし、同じファウンドリでも中国SMICを活用する中国の顧客の多くが、景気の低迷に直面したようで、その影響からかSMICの2019年の売上高は前年比7%減、中国地域だけを見ると同8%減となっている。
中国のファブレスIC企業の多くが先端プロセスを活用しようとしており、その結果、先端プロセスにアクセスしやすい台湾資本のファウンドリの業績が伸びる結果となっており、中国勢のビジネスが成長すると、台湾のファウンドリの業績も伸びるという構図はしばらく崩れることはないだろう。