太陽系のはるかかなたの宇宙で2つの星(恒星)を回る惑星を宇宙望遠鏡「TESS」が見つけた、と米航空宇宙局(NASA)が7日発表した。

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    2つの星(恒星)の周りを回る惑星「TOI1338」(画像中の黒い点)(Credits: MIT / NASA)

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    観測中のTESSの想像図(Credits: MIT / NASA)

NASAによると、この惑星は、南天の「がか座」の方向にあり、1300光年離れた宇宙空間の2つの恒星の周りを回っており、「TOI1338」と名付けられた。2つの恒星は15日周期で互いに回っている。1つは太陽より約10パーセント大きく、もう一つは太陽の質量の約3分の1。

「TOI1338」の大きさは地球の約6.9倍で、太陽系惑星と比べると、土星と海王星のそれぞれの間に位置するという。TESSは惑星が恒星の前を通過する時しか太陽系外惑星を観測できない。「TOI1338」が2つの惑星を通過するのは93~95日に1回という。

互いに回る恒星は連星と呼ばれ、その周りを回る惑星は周連星惑星と呼ばれる。宇宙空間にはかなりの周連星惑星が存在すると推定されているが、観測は極めて難しい。過去には、やはりNASAの宇宙望遠鏡ケプラーが周連星惑星を観測した例などが記録されている。

TESSは生命存在の可能性がある「第2の地球」を太陽系の外で探すために2018年4月18日に米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。4台の高性能カメラを搭載し、ケプラー宇宙望遠鏡などによるこれまでの観測領域の400倍以上となる天空のほぼ全域を観測できる。

太陽系外惑星は、太陽系惑星と同じように自らは光を出さない。地球からはるかかなたの遠方の宇宙にあるため、恒星の手前を惑星が横切る時に生じるわずかな光の変化を手掛かりに観測しなければならない。TESSはこのような現象をしっかりとらえて数千の新たな太陽系外惑星を見つける、と期待されている。

NASAは数々の観測実績を誇るハッブル宇宙望遠鏡の後継機として、2021年春頃にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を打ち上げる計画を進めている。同宇宙望遠鏡はTESSが発見した地球型惑星を集中的に詳しく観測して、生命体が生息できる環境があるかなどを調べるという。

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