シリコンウェハおよびディスプレーパネル向け自動搬送システムを手がけるローツェは、同社の韓国子会社「RORZE SYSTEMS」が、Samsung Displayから28億円相当のディスプレー製造装置を受注したと発表した。

今回受注を獲得した製造装置の詳細は明らかにされていないが、韓国本土のSamsung Displayより約138億ウォン(約13億円)、ベトナムのSamsung Display Vietnamより約1400万ドル(約15億円)相当の製造装置をそれぞれ受注したという。

Samsung DisplayはSamsung Electronicsのディスプレイ製造子会社で、現在、ソウルの南に位置する忠清南道牙山市湯井(アサン市タンジョン)にあるテレビ用液晶パネル量産ラインを次世代のQD-OLED(量子ドット有機EL)ラインに転換する工事をしていることもあり、業界関係者によると、ローツェの今回の受注はこのQD-OLEDディスプレイ関連の自動搬送システムなのではないかという。 RORZE SYSTEMSは1997年に設立され、韓国の顧客(半導体デバイスメーカーやディスプレーメーカー)向けに自動搬送システムの開発、製造、販売、メンテナンスを行ってきた。同社は、韓国での自動搬送システムの増産に向けた体制整備のために、2019年末の竣工をめどに京畿道龍仁市におよそ300億ウォンを投じた新工場の建設を行ってきたが、途中でさらなる増産の必要性が生じたことから、2019年10月末に90億ウォンの追加投資を決め、2020年6月末をめどとした増築工事を進めている。

  • ローツェ

    ローツェの韓国子会社RORZE SYSTEMSの本社工場と自動搬送装置製造用クリーンルーム内部 (出所:RORZE SYSTEMS Webサイト)

韓国の電子産業に詳しい業界関係者の話では、「韓国の大手顧客の要求にスピーディに応じ、ひざを交えて仕様を詰めて短期に納品するためには、日本ではなく現地で生産しなければ競争力を確保するのは難しくなってきた」という。韓国政府は、2019年より「素材・部品・装備(製造装置と設備)の国産化」を国を挙げて推進しているが、外国企業による現地生産は国産化の扱いで歓迎している。また、同政府は1月5日、「新成長・基本技術研究開発費用税額控除制度」を2020年2月から施行する予定であると発表し、素材・部品・装備開発を税制面からの支援するとしている。