政府は一般会計の総額が過去最大の102兆6580億円となる2020年度予算案を20日に閣議決定した。このうち科学技術振興費は1兆3565億円で、前年度比1.4%増。次期主力ロケット「H3」の2020年度の初号機打ち上げに向けた費用181億円や2021年度の運用開始を予定しているスーパーコンピューター「富岳」の製造・システム開発費60億円などが盛り込まれた。
科学技術振興費は前年度より187億円(1.4%)増えて1兆3565億円。このうち、「イノベーション創出のための環境整備」予算として科学研究費助成事業(科研費)は2374億円で前年度比0.1%増、多様な研究成果を社会実装につなげる研究開発を推進する未来社会創造事業は77億円で同18.9%増、大学や国立研究機関、企業など多様な研究主体が参画するオープンイノベーション型の産学連携を推進する共創の場形成支援予算は138億円で同9.2%増など。
「Society5.0実現に向けた重点分野への戦略的配分」予算として「富岳」の開発関係で60億円(このほか2019年度補正予算で144億円)を計上した。宇宙・航空分野予算全体では前年度比1.0%増えた1575億円で、「H3」の2020年度の初号機打ち上げに向けた費用181億円や、米国の月面着陸計画や月周回基地建設計画に参加する関連予算70億円などが盛り込まれた。このほか、人工知能(AI)やビッグデータを活用した研究開発費や量子コンピューターの実用化に向けた事業費なども盛り込まれている。
原子力分野の研究開発予算としては前年度より2億円減った1475億円が計上された。小型原子炉など新型炉開発を促進する技術開発支援事業として9億円を、原発関連部品や技術を提供する企業の人材育成などを支援する新規事業として12億円、日仏や日米の高速炉開発協力に関連する技術開発費として40億円などが盛り込まれた。
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