日本学士院はこのほど、日本学士院の新会員に素粒子ニュートリノの研究成果により2015年のノーベル物理学賞を受賞した東大宇宙線研究所長の梶田隆章氏ら7人を新会員に選んだ。学士院の会員は、優れた業績を上げた研究者の中でも特に顕著な功績を上げた人が選ばれる特別職の国家公務員。任期は終身で年間250万円の年金を受け取る。会員は計134人となった。

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    上段左から井上正仁氏、北川進氏、梶田隆章氏、榊裕之氏 下段左から笹月健彦氏、垣添忠生氏、藤吉好則氏(写真はいずれも日本学士院提供)

日本学士院の新会員の名前、肩書き、専門、主な業績は次の通り。

【第1部=人文科学】 井上正仁(いのうえ・まさひと)、東京大学名誉教授・法務省特別顧問、刑事訴訟法、刑事裁判における違法収集証拠の排除や捜査上の強制・任意処分に関する分析・理論構築などをした。

【第2部=自然科学】 北川進(きたがわ・すすむ)、京都大学高等研究院物質―細胞統合システム拠点長・特別教授、錯体化学、気体の低エネルギーで安全な貯蔵・輸送などを可能にする多孔性物質を開発し、環境・資源・エネルギー・健康などの問題解決に貢献した。

梶田隆章(かじた・たかあき)、東京大学宇宙線研究所長・教授、東京大学卓越教授/特別栄誉教授、東京大学次世代ニュートリノ科学連携研究機構長、宇宙線天文学、素粒子ニュートリノに質量があることを証明した。

榊裕之(さかき・ひろゆき)、東京大学名誉教授・豊田工業大学名誉教授、学校法人トヨタ学園常務理事、半導体電子工学、電子や光の動きを制御する研究を通じてナノエレクトロニクスとナノフォトニクスの研究を先導し、固体物理学や電子工学の新領域を開拓、通信技術の発展に貢献した。

笹月健彦(ささづき・たけひこ)、九州大学高等研究院特別主幹教授・国立国際医療センター名誉総長・九州大学名誉教授、免疫遺伝学、白血球などに存在するHLAの免疫機構における働きを解明するなどして感染症や複雑な病気の病因解明と克服に道を開いた。

垣添忠生(かきぞえ・ただお)、日本対がん協会会長・国立がんセンター名誉総長、泌尿器科学、泌尿器科医としてぼうこうがんの基礎・臨床研究に顕著な業績を上げたほか、ぼうこう摘出患者の生活の質を向上する新手術法を開発した。

藤吉好則(ふじよし・よしのり)、東京医科歯科大学特別栄誉教授・京都大学名誉教授、(株)CeSPIA取締役、構造生理学、細胞などの生物試料を壊さないで観察できる新しいタイプの電子顕微鏡を開発、この成果を生かした構造生理学的研究により医学や生命科学の発展に貢献した。

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