以前はabout.comで知られていた米.dash(ドットダッシュ)は多くのジャンルとカテゴリに専門家や有識者の記事を配信するデジタルメディア企業。日本では2000年にAll Aboutの立ち上げに資本参画するなど、広いジャンルの情報をカテゴライズし、掘り下げる試みを実践している。そんなdotdashが展開するThe Balance Careersは、キャリアや仕事、マネジメントスキルといった情報を取り扱うメディアブランドだが、ヒューマンリソースマネジメントやキャリア開発に詳しくAbout.comのガイドの経歴を持つALISON DOYLEさんは、"Important Business Skills for Workplace Success"(職場で成功するための重要なビジネススキル)を指南している。
長年、求人ビジネスやキャリア開発業務に携わってきたALISON DOYLEさんが挙げるのは「コミュニケーション」「財務」「マネジメント」「ビジネスソフトスキル」の4つ。そのポイントを伝えている。
1つ目のコミュニケーションでは、聞き上手になることが大切という。ビジネスでは必ず他の人と一緒に仕事をすることになる--同僚、上司、部下、さらにはパートナーや顧客。人の話を聞き、相手が何を伝えたいのか、ニーズは何かを理解すること。同時に、自分が話をするときは自分の考えを明確に伝えよう。これは口頭での会話だけでなく、メールなど"書き言葉"も同じだ。
2つ目の財務(Finance)。財務の知識は財務・会計部門だけではない。どんな部署にあっても、何らかの財務的目標があり、予算もある。意思決定では財務要素が加わるはずだし、それを論理的に説明できる必要がある。さらに、自社の財務状況はもちろん、基本的な市場動向、業界動向は把握しておきたい。
3つ目のマネジメントは、幹部だけに求められるビジネススキルではない。管理するのは人、リソース(時間や予算)の両方があるが、自分の仕事の割り振りのバランスをとることを心がけたい。幹部の立場でないからと言って、仕事を全て一人で抱えることはよくない。自分の負荷が大きい場合は周囲にそれを伝えるべきだ。その時に、先のコミュニケーションスキルが求められる--感情的にならずに、論理的に自分の状況を伝えて、負荷を減らそう。また、自分が不得意だったり知識がない分野なら、その分野に詳しい人や得意な人に頼んだり、手伝ってもらうというのもいいだろう。自分の仕事の配分がうまくできるようになれば、次はチーム全体で考える。次第に、幹部に必要なマネジメントスキルが備わるはずだ。
最後の"ビジネスソフトスキル"はソフトウェアのスキルではない。客観的な評価が成り立ちにくい分野でコミュニケーション能力や協調性、自発性やリーダーシップなど資格や証明可能なハードスキルと対比され、近年注目されている。ALISON DOYLEさんは、ソフトスキルはビジネススクールで学ぶことと同じくらい重要なスキルであると述べる。
性格や資質のようにも思いがちな"ソフトスキル"だが、「どんな状況にも対応できる柔軟性」「効果的なコミュニケーション」「フィードバックを受け入れる」などビジネスの現場で活きる特質を抽象化している。たとえば、"柔軟性"は、これまでとは違う方法でやることになった場合、自分が好まない方法でやることになった場合でも対応できること、"協調性"は単に協力的であるというだけでなく、必要に応じて強いリーダー性を発揮すること。"自信家"ではなく、知識・スキルや経験に裏付けされた自信。ほかにも「クリエイティブシンキング」「問題解決」など多くの例を豊富な過去記事へのリンクとともに示している。
他の人が何を必要としているのか、自分の能力は何かを把握し、リソース全体を管理しながら自分の能力を生かしてグループの中で役割を持つ--それがビジネススキルの1つの大きな幹であると言えそうだ。