日本ヒューレット・パッカード(HPE)は12月12日、10月1日に社長執行役員に就任したジャスティン・ホタード氏が、2020年度の事業戦略を説明した。
ホタード氏は説明会の中で、今後の市場トレンドとして、爆発的なデータの増加とエッジシフトを指摘した。
「市場では、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進むことで、コンピュートの処理能力を越えるようなデータが爆発的に生まれる。多くのデータはデータセンターではなく、エッジで創出される。今後、多くの業種でリアルタイムプロセッシングの要求が増大するため、クラウドで処理してエッジに戻すという余裕はない。これからはデータが中心で、ワークロードはデータがあるところで行う必要がある」(ホタード氏)
また、アプリケーションのコンテナへの移行や従量課金モデルのニーズも高まっていくとした。
「フレキシビリティやスケーラビリティを求め、従来型の設備投資型モデルから従量課金モデルにシフトしていく。必要なときに、必要なものだけを使うというシフトが進んでいく」(ホタード氏)
これらの市場環境を踏まえホタード氏は、「HPEの目標は、エッジからクラウドまでプラットフォームを提供するas a Serviceカパニーになることだ。デジタルトランスフォーメーションは、IT関係者だけでなくすべての関係者を満足させることだ。これが非常に重要だ」と語った。
同社では、2022年までにすべてのポートフォリオをサービスとして(as-a-Service)提供すると宣言している。
その上で、今後注力していく領域として、ビッグデータ、エッジコンピューティング、データベースなどを従量課金モデルのオンプレミスで利用可能にする統合型ITソリューション「HPE GreenLake」を挙げた。同社は、先日12月3日には、運用コンソールを通じてハイブリッド環境全体の運用、管理、最適化する「HPE GreenLake Central」も発表している。
「HPE GreenLake Centralによって、IT部門はすべてのインフラを単一の統合された形で管理することができる。オンプレ環境でパブリッククラウドも管理でき、自動デリバリーも可能だ」(ホタード氏)
さらにホタード氏は、HPE GreenLake以外の戦略的成長領域として、AI/マシンラーニング、IoT、ハイブリッドクラウド、5Gを挙げた。
「ArubaやClearPassの買収によって、多くの企業に新たな価値を提供できる。5Gでは今後需要がさらに高まり、ネットワークの全体的な刷新が必要になる。HPE Synergyは、顧客がプライベートクラウドを展開でき、日本でこの1年、事業が非常に成長している。ハイブリッドクラウドのデマンドは非常に大きい」(ホタード氏)
そのほか、ホタード氏は働きやすい職場の構築にも力も入れるとした。
具体的には、ボランティア活動を促進する日を新たに設けたり、毎月第2金曜日を「ウェルネスフライデー」として、社員は14:30以降、Wellness(健康)増進のために使うことができる。また、復職制度や26週間の有給の育児休職制度も発表している。
「HPEは、ビジネスだけでなく人への投資も行っている。職場は、毎日通ってお金を稼ぐだけなく職場には健康であることや楽しさが必要だ」(ホタード氏)
そして同氏は最後に「HPEはマーケットにおいて良いポジションをとれており、われわれには明るい未来が待っている。今後はカスタマーに付加価値を提供し、さらに伸ばしていきたい」と結んだ。