アクセンチュアは12月11日、パブリッククラウド環境で基幹業務システムの構築・運用を実現する「アクセンチュア クラウドネイティブ コアソリューション」を提供開始すると発表した。
同ソリューションには、基幹業務システムのマイクロサービス設計、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)による外部サービスとの連携、データウェアハウスに格納された顧客行動データなどを即時に分析できるプラットフォームの構築・運用などが含まれている。
テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏は、同社が同ソリューションを開発した背景について、「既存の基幹系システムをモダナイズするソリューションでは、デジタルトランスフォーメーションを支える基幹システムを実現できない。だから、新たなソリューションをつくった」と説明した。
同社は、デジタルトランスフォーメーションを支える新たなITシステムの要件として、以下を想定している。
- 前提として、ビジネスプロセスがゼロベースで見直されている
- さまざまなチャネルやAPIとつながり、アジャイルに変化できる
- あらゆるデータを収集・分析できる
- 顧客を中心に据え、そのモーメントをとらえてパーソナライズできる
- 柔軟かつ迅速にスケールできる
これらの要件を満たすべく、新ソリューションは構築された。山根氏は、新ソリューションのポイントとして、以下を挙げた。
- ビジネスの変化とスケールを担保するマイクロサービスとAPIアーキテクチャ
- ミッションクリティカル性を担保し、当然の負荷集中にも耐えうるオートスケールDevSecOps
- パッチのためにオンライン処理を止めない、リアルタイム分散バッチ処理アーキテクチャ
- すべての顧客データをリアルタイムで分析し、即時でアクションを実現するパーソナライズ
新ソリューションでは、顧客情報のマイクロサービスとビジネスロジックのマイクロサービスを分割することができるほか、kafkaで参照データをつなぐことで、整合性の担保とパフォーマンスのスケーラビリティを実現する。
また、バッチ処理に関しては、分散して、負荷に応じてオートスケールすることで、大量の処理を並行して行うほか、オンライン用と一括処理用のデータベースを分離して、オンラインとバッチ間の疎結合を実現している。
テクノロジー コンサルティング本部 ITソリューション マネジング・ディレクター 水上廣敏氏からは、新ソリューションの技術的な解説がなされた。
新ソリューションは、Kubernetes Engine(Dockerコンテナを実行するためのクラスタ管理およびオーケストレーションシステム)、Cloud Spanner(リレーショナルデータベース・サービス)、Cloud BigQuery(データウェアハウス・サービス)など、Google Cloud Platform(GCP)のサービスをベースに構築されている。
同様のサービスは、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureでも提供している。そうした中でGCPを選択した理由には、「Cloud Spannerにおいて、参照以外の登録や変更処理が分散データベースによって実現できること」や「Cloud BigQueryにおいて、スケール可能な分析が行えること」などがあるという。
新ソリューションは既にふくおかフィナンシャルグループが新銀行の勘定系システムに導入することが決まっているが、水上氏は、新ソリューションによって構築したシステムが「新たな銀行基幹系」システムとして正しく稼働するかを検証したことを紹介した。
検証では、秒間2000件を超える負荷集中と利息計算バッチを並行した際、200~300msecのレスポンスですべて応答し、1億件を超えるDWHデータに対する分析クエリを約3秒から5秒で実行できたという。