電通パブリックリレーションズ内の研究組織である企業広報戦略研究所は12月10日、企業と社員のエンゲージメントを深めるにはどのような要素が重要で、どうすればインターナルブランディングに繋がるのかを、コミュニケーションの観点から解析することを目的として2019年8月に全国20歳以上69歳までのビジネスパーソン1000人(男女各500人)を対象に実施した「インターナルブランディング調査」の結果を基に、「インターナルブランディングモデル」を開発したと発表した。
インターナルブランディングという言葉は、同社が2003年に商標登録し、「組織内部で課題を共有化し、1つのビジョン(目標)に向かって、同じ意識で一体となって行動していくことにより、人々をひきつけるパワーを生み出し、組織の価値を高めること」でブランディングするという考え方だという。
この考え方とこれまでの実績、さらに同調査の結果をベースにして、新たに同モデルを開発したとしている。
このモデルは、エンゲージメントを強化するキードライバーが「理念」であり、それを下支えする要素として「Working Condition」「Motivation」「Relation」の3つがあるとの考え方に基づいているという。
調査結果では、回答者の6割が自社に「貢献したい」とする一方で、自身の勤める会社を信頼している「そう思う」との回答は計48.0%に留まっており、自社への「信頼」「愛着」「誇り」は過半数が欠如していると同社は分析する。
企業と社員の絆であるエンゲージメントが高い層と低い層で最もギャップが大きかったのは「同僚や部下を思いやる風土がある」で43.6ポイントの差(66.7%/23.1%)があり、エンゲージメントを左右するのは「思いやり」と「パーパス」だという。
「自社の理念を意識して行動している」との回答は、高エンゲージメント層では71.1%に上るのに対して、低エンゲージメント層では23.7%に留まっている。
企業理念の内容として当てはまる項目の1位は、「社会に提供する価値が明確になっている」で約4割となる39.8%に上った。
企業理念を目にしたことがあるツールとその中で印象に残ったツールの差が最も大きいのは社内報だった。
社内報で企業理念を目にしたという回答者が全体の約半数にあたる48.3%だったが、印象に残っている人は2割未満の16.9%と、その差は31.4ポイントとなっている。
低エンゲージメント層では、「企業Webサイトなど自社発メディアで十分に発信されている」との回答者が8.8%に留まっており、自社の対外発信が「十分」と感じている人は1割未満との結果になった。