ネットアップは12月10日、都内で「NetApp INSIGHT 2019 Tokyo」を開催した。今回は「Buid Your Data Fabric - DX時代のテクノロジーとは」をテーマとし、基調講演の中で米国本社のエグゼクティブバイスプレジデント フィールド&カスタマーオペレーションのHenri Richard氏と、クラウドデータサービス事業担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのAnthony Lye氏の話を紹介する。

冒頭、同氏は企業ではIT変革に対して「IT環境のモダナイズと簡素化でビジネスクリティカルなアプリケーションの高速化」「プライベートクラウド環境を構築してスピードと即応性の向上」「目的に合ったパブリッククラウドを活用してデータ駆動型のイノベーションの促進」の3項目を求めているとの認識を示す。

  • 米NetApp エグゼクティブバイスプレジデント フィールド&カスタマーオペレーションのHenri Richard氏

    米NetApp エグゼクティブバイスプレジデント フィールド&カスタマーオペレーションのHenri Richard氏

そこで、同社では5年前にヴィジョンとしてオンプレミス環境と500以上のクラウドプロバイダにまたがるエンドポイント間で一貫した機能を提供するアーキテクチャおよび一連のデータサービスを「データファブリック」として打ち出し、これら3つの必須要件をシームレスに提供し、顧客のデジタル変革を促すことが実現できる概念だという。

Richard氏は「われわれは5年の間に、ファイル、ブロック、オブジェクトサービスをハイブリッドクラウド環境に提供することや、従来型・仮想化・クラウドネイティブ環境への対応、クラウド管理オーケストレーション『NetApp Kubernetes Srvice』などの提供をはじめ、これまでユーザーと約束してきたことを実現している。デジタル変革の波に乗るために、統合的でインテリジェントを備えたハイブリッドクラウドデータサービスで支援していく。これは、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)の3社のクラウドプロバイダーと連携する形で実現した」と力を込める。

一方で同氏は「昨今では、成功は単にテクノロジーからもたらされるものではなく、簡単でスピーディなビジネス体験が伴うべきだ」とも語る。その布石となるのが、米国ラスベガスで開催した「NetApp INSIGHT 2019」において発表された新しいクラウド型の消費モデル「NetApp Keystone」だ。

これは、(1)パフォーマンスレベルを決定し、(2)ストレージを選定した上で、(3)自社orネットアップによる管理を選択するという、わずか3ステップで使えるサブスクリプションサービスとなる。

  • 3ステップで導入を実現するという

    3ステップで導入を実現するという

Richard氏は「サービスを提供しながら、オンプレミスの環境でクラウドと同じ形で消費できる。Keystoneの目的はテクノロジーを簡単にすることであり、商品・運用が容易にする、という点を重視している。これにより、従量課金かつサブスクリプション、または資産として導入が可能だ。ユーザーが望む形で実現でき、プライベート/パブリッククラウドの移行をシームレスにする」と述べており、現状では詳細は未定だが、今後は日本国内でも提供していく方針だ。

  • 「NetApp Keystone」の概要

    「NetApp Keystone」の概要

続いて登壇したのはLye氏だ。まず、同氏は「デジタルトランスフォーメーションが加速し、61%以上のソフトウェアエンジニアリング業務はテクノロジー業界以外がリードし、今後5年間で新しいアプリケーションが5億本もリリースを予定している。しかし、企業データの73%は分析や分類されないままシステム内に投入されており、多くのアプローチが難航している」と指摘する。

  • 米NeApp クラウドデータサービス事業担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのAnthony Lye氏

    米NeApp クラウドデータサービス事業担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのAnthony Lye氏

DXを実現するにあたり、同社が学んだことはスピードが新たな重要な尺度となり、IT変革が不可欠であるとともに、ハイブリッドクラウドをITアーキテクチャのデファクトスタンダードと位置付け、データセンター型からデータファブリックに移行しなければならいないという。そこで、同氏は「成功事例のアプローチは、リーダーの存在とトップダウンアプローチ、プロジェクト推進者への投資・権限委譲、完全な分析を待つよりも試行と改善だ」と主張する。

同社では、直近3年間においてデータマネジメントとストレージのプラットフォームを構築し、これによりITインフラ、パブリッククラウド、プライベートクラウドをまたがることを可能としており、新規を含む顧客の拡大を実現したという。

そのため同社は「クラウドストレージサービス」、スナップショットやミラーリングをはじめとした「クラウドデータサービス」、「クラウド管理・制御」、「クラウド環境の運用管理・モニタリング」と、フルスタックのクラウドデータサービスを揃えている点を強調しており、継続して新サービスを用意し、企業のDXを引き続き支援していく考えだ。

Lye氏は同社が提供するフルスタックのクラウドデータサービスの優位性として「EASYをキーワードにas aServiceとして提供し、LOBやクラウド利用者、各IT部門の業務を簡素化できる。また、一度設定するだけのAPIを用意しており、コンフィグレーションが簡素化できるためカスタマイズは不要だ。そして、クラウド情報サイトの日本語版を12月10日から公開している。さらに、既存のプライマリワークロードを展開する『Cloud Volumes Service on Azure』を今月中に東京リージョン、来年2月に大阪リージョンでそれぞれ提供を開始する」と説明し、今後の日本における事業展開に期待を口にしていた。

  • クラウド情報サイトの日本語版を公開した

    クラウド情報サイトの日本語版を公開した

  • 東京・大阪リージョンで「Cloud Volumes Service on Azure」を提供する

    東京・大阪リージョンで「Cloud Volumes Service on Azure」を提供する