アジレント・テクノロジーは12月5日、次世代のICP発光分光分析装置(ICP-OES)となる「Agilent 5800/5900」を発表した。
2製品は2016年にリリースされた前世代機「Agilent 5110」の特徴を活かしつつ、機能拡充を図ったもので、新開発の自由曲面光学系を採用することで、分解能や検出下限を向上させつつ、システムの小型化も実現。具体的には従来機比で床面積は約20%減、高さも約10%の低背化を実現しつつ、測定時間は従来と同程度を実現したという。
また、アーリー・メンテナンス・フィードバック(EMF)機能により、装置の使用状況を自動的にモニタリングできるほか、ネブライザが詰まるなどの状況を検知する「Neb Alert機能」などの操作をサポートする各種機能を搭載。さらに、1つの元素であっても、混在する成分により複数波長のうち、どれを選択するのがベストであるのかといったことを自動的に教えてくれるといった機能なども搭載しており、同社では、作業者の隣にエキスパートがいるような感覚で作業を進めることができる装置と説明しており、こうした機能を活用することで、サンプルの再分析を未然に防ぐことなどが可能になり、ランニングコストの低減につなげることができるようになるとしている。
Agilent 5800とAgilent 5900の違いは発光するプラズマを2つの方向から同時に見ることができるかどうかの違い。同時に見ることができるのがAgilent 5900で、連続的に見る方式がAgilent 5800となる。また、Agilent 5900には標準で、サンプルの切り替えを迅速に行うことを可能とするアドバンストバルブシステム(AVS)も搭載されている。
オプションとしては、オートサンプラなども用意されているが、こちらはAgilent 5100シリーズのものもそのまま流用可能だという。
そのため、ターゲット市場は環境、食品、材料、化学、エネルギーなど、従来から同社が注力している分野としており、買い替え需要や他社製品からの代替えを狙っていくとする。
なお、2製品ともに即日受注を開始。出荷は2020年1月を予定している。参考価格はAgilent 5800が1200万円(税別)、Agilent 5900は約1400万円程度(同)とのことで、あくまで参考価格ながら、AVSの有無なども鑑みると、まずはAgilent 5900を候補に、プラズマの方向が両方同時でなくて良いといったニーズなどでAgilent 5800を購入するといった選択になるものと思われる。