レノボ・エンタープライズ・ソリューションズは今年の7月16日、1Uラックサーバの約半分のサイズ(ハーフサイズの超小型サーバ「ThinkSystem SE350」を発表したが、11月19日、その詳細を説明した。
「ThinkSystem SE350」は、エッジ・コンピューテイングに向けに設計されたx86サーバで、9月から提供が開始されている。
構成済モデルとして「ThinkSystem SE350 有線モデル」3機種と、「ThinkSystem SE350 無線対応モデル」3機種を提供し、価格は有線モデルが36万8,000円(税別)~、無線対応モデルが47万8,000円~(税別)。
標準ラックには、2台並べて設置することで1Uラック・サーバと同様のマウントが可能になるほか、壁に直接ビルトするための専用ラックオプション、縦置きに設置するためのブックシェルフオプションなども発売する。
主な仕様は、 1ソケット Intel Xeon D-2100プロセッサー(4~16コア)、メモリは最大256G、有線(SFP+)モデルと無線対応(WiFi/LTE)モデル(5G対応予定)があり、ストレージは最大16TB。本体サイズはW215×D376×H40mm、重量は最大3.75Kg。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 技術営業本部 本部長 廣川直哉氏は、「レノボとしては、初めてのエッジ・コンピューティング向けのサーバで、エッジ・コンピューティング特有の要件を考慮してデザインされたサーバだ」と説明する。
同社は、通信量の増加、柔軟性、レイテンシーの最小化、プライバシー・個人情報保護の観点で、今後、エッジサーバが伸びると予測しているという。
同社が考えるエッジ・コンピューティング特有の要件は、高温・振動・埃への対応、IT担当者が不在、攻撃者が物理的にアクセス可能な環境、有線のネットワークがない場合での利用、多様な設置環境、完全な仮想化スタックだという。
とくにセキュリティを一番の優先順位で設計したといい、物理的な面ではシャーシ侵入検知により、許可なく移動したり、シャーシの蓋を開けると反応し、3段階の振動センサーも装備。ケンジントンロックへの対応も行っている。
電子的なセキュリティとしては、ThinkShieldを利用し、一度、Webでアクティベーションしないと工場出荷状態では起動しない仕組みや、自己暗号化ドライブ(SED)によるデータ保護、改ざん検出時のアクションの自動実行機能などがある。
多様な環境での使用が想定し、稼動可能温度は摂氏0~55度、防塵対応、対衝撃/対振動構造で、動作時衝撃は30G、動作時振動は3Gに対応する。
そのほか、XCarityコントローラを搭載し、リモート管理が可能になっている。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ソリューションアライアンス本部 担当部長 ビジネス開発マネージャー 内田修氏は、想定利用用途として、小売り、産業/製造、監視カメラ、医療、文教、ホテル、スタジアム映像分析、デジタルサイネージ連携、アミューズメントパーク、ショッピングモールなどを想定しており、ビジネスパートナーとともに業種カットで、20のシナリオを用意しているとした。
また、5Gへの対応も予定し、ドローンによるAI映像分析も有力な用途だとした。
同社今後、ビジネスシナリオを想定したパートナー経由、大手企業を中心とする直販による販売を柱に訴求していくという。