米Wave Computingは11月14日(現地時間)、MIPS Open Initiativeを終了することを明らかにした。すでにMIPS Open Initiativeに基づいてライセンスを取得しているユーザーに対し、以下のことを通告した。
- 11月14日付でMIPS Open Initiativeを終了する
- 同日より、MIPS Open compponentsの提供も終了する。ここにはMIPS architecture、core、tool、IDE、シミュレータ、FPGAパッケージ及びこれに関連するソフトウェア/ハードウェアコンポーネント一式を含む
- MIPS Openのアカウントも同日閉鎖される
- すでにMIPS Open Initiativeのライセンスを取得し、MIPS Open Componentsを入手しているユーザーは、引き続きこれを利用することができる。ただしWave Computingはもうメンテナンスあるいはサポートを行う予定は一切ないので、現在利用中の開発者には、これ以上開発を進めないことを推奨する
Wave Computingは元々2018年12月にMIPSアーキテクチャのOpen化を発表、3月末にMIPS Open InitiativeのWebサイトを公開、ここで最初にMIPS ISAとMIPS Open Tools、MIPS Open FPGAを提供開始した。このMIPS Open FPGAではMIPSのmicroAptiveコアのFPGA向けRTLも提供されるといった具合であった。これに続き、5月13日にはmicroAptive MCUとmicroAptive MPUのVerilog RTLコードとドキュメント、Configuration toolとVerification Suiteの提供が開始されている。さらに5月30日にはImperas SoftwareがMIPSOpenOVPsimというシミュレータを開発したことを発表、これを6月3日よりMIPS Open InitiativeのWebサイトで公開するとした。
こうした具合に順調に進んでいるかのように見えたMIPS Open Initiativeであるが、元々MIPS Open Initiativeを推進していたWave ComputingのDerek Meyer CEOは2019年5月に辞職。後任CEOにはWave Computingの中でMIPS IPライセンスを担当していたArt Swift氏が就いたが、Swift氏も4か月ほどでCEO職を退任。9月からはSanjai Kohli氏がCEO職に就いている。実はこの前後に、Wave ComputingのExectiveが大挙消えるという事が起きている。同社のCompany PageからExective Teamを見てみると、2018年末の時点で12名(Photo01)だったのが、2019年8月には9名(Photo02)に、10月には4人(Photo03)となり、現時点では3人(Photo04)にまで減っている。理由はともかく、ここまでExectiveが減ったら、もうMIPS Open Initiativeの様な手間のかかるビジネスの継続は難しいだろう、という事は容易に想像がつく。
ちなみにWave Computingは引き続きMIPS IPのライセンスビジネスそのものは継続していく模様である。この原稿執筆時点ではまだ公式なプレスリリースは出ていないが、すでにMIPS Open Componentsなどのダウンロードはリンク切れとなっており、入手不能である。