半導体市場動向調査会社TrendForceのメモリ市場調査部門であるDRAMeXchangeの最新の調査分析によると、2019年に下落の一途をたどってきたDRAMの大口契約平均価格は、10月に入って取引数量が大きく伸び、上昇が期待されたものの、第4四半期全体で見ると前四半期比5%減とわずかながら下落傾向が続くとの見通しとなっている。これにより2019年のDRAM大口契約価格は前年比で約50%減、つまり2018年の半額まで下がる可能性が出てきた。
10月以降の取引数量増加を踏まえ、DRAMサプライヤの在庫調整が進めば、DRAMサプライヤ側として無理に価格を引き下げる必要がなくなり、2020年にDRAM価格が安定、回復する可能性があると同社ではしているが、その一方で、Samsungによる増産と中国DRAMメーカーの本格参入が市場に対して一定の影響を与える可能性があるとしており、2020年第1四半期も1桁%の価格下落が生じるとの予測を公表している。
いまだ低迷が続くDRAMスポット市場
また、大口契約市場とは対象的に取引数量が大幅に減少しているのがDRAMスポット市場だという。7月には日韓貿易紛争によりDRAM価格は一時的に上昇したものの、その後、日本政府が正規の手続きを踏まえた申請には問題なく許可が出されることなどが明らかになって以降、スポット価格は下落を続け、10月末には7月以来の最安値を更新するなど、価格が安定しない状況が続いている。
なお、TrendForceでは、スポット市場の現在のDRAM価格は予測の範囲内であるとの見方を示しており、電子機器などのDRAMの需要側が大幅にDRAMの使用量を抑えるといったことがない限り、DRAM市場全体に大きな影響を与えることはないとしている。