Kofax Japanは11月13日、都内で記者会見を開き、インテリジェントオートメーション(IA)プラットフォーム「Kofax IA」の最新版を発表した。最新版では、同社のIAプラットフォームにセンチメント分析とエンティティ抽出のために自然言語処理(NLP、)人工知能(AI)、機械学習(ML)を活用しているという。会見には米Kofax 最高経営責任者(CEO)のReynolds C. Bish(レイノルズ・C・ビッシュ)氏が出席した。

Kofax IAは、チャネルや形式を問わずあらゆる文書を取得して理解する「コグニティブキャプチャ」、ルーティン化した反復作業を自動化する「RPA(Robotic Process Automation)」、、複数のアクション、人、ソフトウェアロボット、ポリシー、システムを連携させることで成果を創出する「プロセスオーケストレーション」、可視化、プロセス・インテリジェンス、インサイトを顧客、従業員、ロボット、ビジネスパートナーに提供する「高度な分析」、電子署名や顔認証、オンデマンド通信を利用した信頼性の高い通信・処理を行う「モビリティ&エンゲージメント」の5つの機能を持つ。

  • 「Kofax IA」の概要

    「Kofax IA」の概要

ビッシュ氏は「企業においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)のためにビジネスプロセスを自動化するため、ポイントソリューションを導入する傾向にあるが、サイロ化されてしまい自動化を享受できてない」との認識を示す。

  • 米Kofax 最高経営責任者(CEO)のReynolds C. Bish(レイノルズ・C・ビッシュ)氏

    米Kofax 最高経営責任者(CEO)のReynolds C. Bish(レイノルズ・C・ビッシュ)氏

そのような状況を踏まえ、同氏は「本当の意味でのDXは、あらゆるコンテンツを迅速に処理し、簡単に理解できることであり、情報を元にナレッジワーカーの多様な業務を自動化することだる。組織横断的に効率かつ一貫性を持ち、システムの中で情報が処理されるに従い、分析し、プロセスそのものの改善を継続することだ。Kofax IAは、それを可能にする」と強調した。

最新版で実装されたセンチメント分析はメール、法律文書、SNSの投稿、顧客サポートに関する問い合わせを含む非構造化コンテンツの情報から意図と感情を理解できるようになるという。また、エンティティ抽出は非構造化コンテンツから人、場所、モノを容易に見つけることを可能としている。

企業においては膨大な量の非構造化・半構造化された情報を処理する上で、多くの課題に直面しており、情報源が文書、メール、チャットボット、またはSNSの投稿をはじめとしたテキストベースのコミュニケーションを読み、解釈するには手作業が必要になる。

そのためKofax IAは、自然言語テキストベースのアセットからリアルタイムに貴重な情報を抽出することができるため、生産性と効率の向上が図れ、人を介さずに顧客体験向上のインサイトが提供され、企業の競争力向上につながるとしている。例えば、顧客サービスとロイヤリティの向上やSNSのトレンドや顧客の意見のモニタリング、テキストベースのアセットの検索・分析・解釈、意図を理解した上での意思決定の強化などが図れるという。

  • センチメント分析とエンティティ抽出の概要

    センチメント分析とエンティティ抽出の概要

最新版の発表と同時に、新規顧客の商取引き、請求処理、ローンの自動化、市民サービスの提供、サプライヤー管理など顧客との一連のプロセスを迅速化するデジタル変換プラットフォーム「Kofax TotalAgility」(KTA)と、KTAで構築された単一または複数のERPに対応するAP(買掛金)自動化ソリューション「Kofax AP Agility」がクラウドで提供することも発表された。

  • 「Kofax TotalAgility」と「Kofax AP Agility」をクラウドで提供する

    「Kofax TotalAgility」と「Kofax AP Agility」をクラウドで提供する

両ソリューションともにSaaSサブスクリプションにより、Microsoft Azureでホストされているクラウドでの利用を可能としている。

日本市場での事業展開

一方、日本における取り組みについては、9月にKofax Japan 代表取締役社長に就任した荒川勝也氏が説明した。同氏は「われわれは成長、投資、顧客体験の点で日本市場に大きくコミットしている。『Kofax RPA』は直販、OEM、代理店販売を合わせて大手企業を中心に1000社を超える導入実績がある。2019年1月~9月期の対前年比売上高成長率は70%となり、12月末には同100%超を計画している」と述べた。

  • Kofax Japan 代表取締役社長の荒川勝也氏

    Kofax Japan 代表取締役社長の荒川勝也氏

三菱UFJフィナンシャル・グループや広島銀行、大樹生命、ゆうちょ銀行などがKofax RPAを導入しており、国内外のパートナー企業とエコシステムを構築していく方針だ。

2020年に向けて今後は、IT/ビジネスリーダーを対象とした小規模セミナーの開催や外部イベントへの協賛強化に加え、ウェブサイトの全翻訳(日本語)、ユーザーコミュニティの設置などを予定し、特にKofax RPAとKofax IAの売り上げ拡大を見込んでいる。