テラスカイは11月12日、都内で事業戦略説明会を開催した。説明会には同社 代表取締役社長の佐藤秀哉氏が出席し、2020年2月期第2四半期の決算などについてプレゼンテーションを行った。
冒頭、佐藤氏は「クラウドは黎明期から普及期に移行した。われわれではセールスフォースやAWS(Amazon Web Services)をはじめとしたクラウドの導入実績が4000件超となったほか、6月にはスカパー・カスタマーリレーションズのオムニチャネルコールセンターシステム『スマートコンタクトセンター』の構築支援、8月にCRMと連携したLINEのマーケティングソリューション『OMLINE-O』の提供開始、9月にはクラウド型の電話 APIサービス『Twilio』を提供する米Twilioとゴールド・SIパートナー契約を締結した」と振り返り、胸を張っていた。
また、クラウド型データインテグレーションサービス「DataSpider Cloud」関連では、トヨタ自動車が販売会社で使用するSalesforceを用いた次期営業活動支援システムと、基幹システムをつなぐデータ基盤として運用を開始し、11月12日には鎌倉新書がDataSpider Cloudを採用して基幹システムを刷新したことを発表している。さらに、コミュニケーションプラットフォーム「mitoco」がJCBの国内営業部門で採用されたことをアピールしていた。
好調な事業を背景に、同社の2020年2月期における上期実績は売上高が対前年増加率46.7%の44億4900万円、営業利益は同3億5600万円増の3億4500万円、経常利益は3億8900万円となり、通期の連結業績予想は売上高が同36.6%の89億6000万円(期初予想:86億3400万円)、営業利益が同296.6%の4億9800万円(同2億4600万円)、経常利益が同184.2%の5億4800万円(同2億5000万円)と、いずれも期初予想から大幅に上方修正している。
一方で、100億円の売上高を目指すために昨年発表した5つの施策のうち、R&D部に関するものとして量子コンピュータへの取り組みについて説明した。同社では6月に量子コンピュータの子会社としてQuemixを設立し、量子コンピュータと従来のコンピュータによる解決を組み合わせた企業向けソリューションビジネスや、量子コンピュータを量子化学や機械学習への適用の研究、材料開発の応用などの研究、量子アニーリングマシンや半導体ベースのアニーリングマシンの活用支援を事業内容としている。
新会社に関して佐藤氏は「ハードウェアではなく、利用技術を極めることに投資し、量子アルゴリズムなどを構築している」と説明。具体的には「量子コンピューティング・ラボ」と「組み合わせ最適化支援」の2つを挙げており、量子コンピューティング・ラボではIBM Qを利用して計算時間の短縮または精度向上を目指している。
組み合わせ最適化支援については、カナダの量子コンピュータ企業であるD-Waveなど、さまざまな手法を駆使することで膨大な組み合わせの中から最適なものを見つけ出すソリューション開発に取り組む考えだ。すでに量子コンピューティング・ラボでの共同研究を、10月からはモバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)における実証実験を、それぞれ開始している。
続いて、資本施策としては3月にサーバーワークスが東証マザーズへの上場、ベンチャーキャピタルの子会社としてテラスカイベンチャーズを設立、5月にはRuby on RailsのWebシステム開発に強みを持つCuonを子会社化し、9月に日本システム技術と資本提携を締結したことを挙げていた。
最後に佐藤氏は「地に足をつけてセールスフォースとAWSのビジネスの展開と製品に投資しつつ、新しいビジネスとして量子コンピュータなど多方面にわたり、活動を広げていく」と意気込みを語っていた。