宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月12日、小惑星探査機「はやぶさ2」の地球帰還に向けた小惑星「リュウグウ」からの出発日を決定したと発表した。また、それに併せてはやぶさ2へのメッセージの受付なども開始することも明らかにした。

帰還開始日時は2019年11月13日10:00(機上、日本時間)を予定しており、これをもってはやぶさ2はこれまでの「小惑星近傍運用フェーズ」から「帰還フェーズ」へ移行することとなる。

帰還フェーズ開始から5日間ほどは、遠ざかるリュウグウを撮影する「リュウグウお別れ観測」を実施、その後、姿勢を地球に反転。11月19日~12月2日にかけてイオンエンジンの試運転を実施した後、12月3日以降にイオンエンジンの巡航運転に入る予定だという。

なお、JAXAではリュウグウ出発にあたって「"さよならリュウグウ"キャンペーン」ならびに「なぜなに はや2」という2つの取り組みを実施する予定。さよならリュウグウキャンペーンは、11月13日~19日にかけて、リュウグウやはやぶさ2についてのメッセージを募集するというもの。メッセージの送り方としては、Twitterでハッシュタグ「#SAYONARA_Ryugu」をつけてツイートする方法があるほか、はがきや手紙をJAXA宇宙科学研究所 「はやぶさ2」プロジェクト(〒252-2510 神奈川県相模原市中央区由野台3-1-1)宛てに送る方法の2通りがある。ちなみにメッセージは公開される場合もあるという。

もう一方のなぜなに はや2は、11月16日の15:00~16:00にかけてTwitter上で実施される取り組み。当該の時間帯にハッシュタグ「#haya2_QA」をつけて質問をツイートしてもらえれば、プロジェクトメンバーがリアルタイムで回答をしてくれるというもの。年齢制限はないとのことで、だれでも気になる質問を送ることができるものとなっている。

またはやぶさ2が帰還フェーズへ移行するにあたって、JAXA宇宙科学研究所の國中均 所長は、以下のようなメッセージを出している(以下、全文そのまま掲載)。

「はやぶさ2」はこれまでに、
1) 小惑星ランデブー
2) 小惑星の科学観測
3) 探査ロボットの分離放出と表面データ取得
4) 第1回タッチダウン
5) 人工クレータ生成
6) 第2回タッチダウン
7) 探査ロボットおよびターゲットマーカの分離による小惑星の重力計算等
と多くの成果を創出しました。
小惑星近傍のすべてのミッションを成し遂げ、いよいよ、「はやぶさ2」探査機は転舵し、復路となります。
めざす天体は、太陽系第3惑星。
これから、 イオンエンジンを点火し、最大推力で全速前進。
「なにもかも皆懐かしい地球」に帰ります。
帰還運用も確実に実施し、地球にサンプルを持ち帰ります。
さまざまな挑戦への成功が、今後の多くの宇宙科学・探査計画を推し進める契機になると信じています。

  • はやぶさ2

    地球に向けてエントリーカプセルを放出するはやぶさ2のイメージ (C)JAXA/池下章裕氏