日本電信電話(以下NTT)は11日、物理的遅延の軽減のみならず人が感じる感覚的遅延までを含むゼロレイテンシメディア技術研究開発への取り組み開始を発表。同じくUX探索のために技術研究に取り組むソニーと研究開発の交流を開始していることを明かしている。
デジタルデータによる表現がリアルになればなるほど情報力は増し、データのlatency(レイテンシー/遅延)の及ぼす影響も懸念されるところ。NTTでは、これまでも超高臨場感通信技術"Kirari!"など映像や音と通信を用いた先進的な取り組みを行っている。機械学習を用いた被写体抽出やミラーを用いて2D空中像表示など、人間が"見る"行為をつぶさに研究しながら成果を挙げている。
今回、同社は"人が感じる遅延による違和感と、自ら行う脳内予測のメカニズムを解明し、そのメカニズムに即した情報提示を行うことで、遅延を感じさせない自然な体験の創出・共有を実現する"ゼロレイテンシメディア技術への研究開発を進めることを発表。ゼロレイテンシ技術の研究に取り組んでいるソニーと既に研究開発の交流を開始しており、14日からNTT武蔵野研究開発センタで開催される「NTT R&Dフォーラム2019」において、ソニーのA(i)R HockeyやDoodle Penを使った概念実証(Proof of Concept)を展示する。
高速ビジョンセンサと独自予測アルゴリズムや触覚定時技術を組み合わせたAR「A(i)R Hockey」は円卓に映し出されるプロジェクションで次世代"エアホッケー"を体験。おなじく高速センサを活用し、ペン先をリアルタイムトラッキング、壁面へのデジタルペンによるストリートアートを実現する「Doodle Pen」。いずれもソニーの最新テクノロジーの成果物で、現実と仮想の融合を行うものだが、"遅延を感じさせない自然なインタラクション"が披露される予定。