NECとアクセンチュア、鹿島建設、日立製作所、産業技術総合研究所(産総研)、データ流通推進協議会(DTA)は、11月8日、内閣府が実施し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が管理法人を務める「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術におけるアーキテクチャ構築及び実証研究」の研究開発項目「スマートシティ分野:アーキテクチャ構築とその実証研究の指揮」の委託先に採択されたと発表した。今後、官民の協働により共通スマートシティ・アーキテクチャの確立に向けて研究開発に取り組む。

現在、全国の自治体において、防災、観光、交通、エネルギー、ヘルスケアなど様々な分野でスマートシティのプロジェクトが展開されており、ICTを活用したまちづくりを通じて、地域の課題解決が図られているが、各地で実証・導入が進められているスマートシティのプロジェクトは、特定の地域や分野に特化したサービス開発・システム構築になっている事例が多いのが現状だという。

そこで、同プロジェクトでは国内外の先進事例を参考にしつつ、地域間、企業間連携を推進し、地域や特定のサービス・システムに依存しないスマートシティ運用モデルの確立を目指す。

具体的には「都市OS」となるスマートシティの共通設計図かつ運用マニュアルとしてアーキテクチャを開発することで、他の地域で生み出されたサービスをスムーズに自分の地域に取り込むことが可能になるという。また、データの利用・提供など運用方法を揃え、都市を運営する関係者の認識を合わせることで、スマートシティ同士が協力したプロジェクトも実施できるとしている。

  • スマートシティ・アーキテクチャにおける構成要素の概要

    スマートシティ・アーキテクチャにおける構成要素の概要

今回、6者はSIPを通じて、各都市へ展開でき、かつ持続可能なスマートシティ事業モデルの確立に向けた研究開発を推進。各企業・機関のこれまでの実証結果を持ち寄るとともに、国内外の先進事例を検討し、共通スマートシティ・アーキテクチャの構築に取り組む。また、研究開発で構築したアーキテクチャを自治体などの関係者が活用するためのガイドブックを作成する。

各者の役割として、NECは全体統括、アーキテクチャ検討、ルール・制度ならびにビジネスモデルの検討、SIP内の研究開発項目「実証研究の実施」の指揮を、アクセンチュアはアーキテクチャ全体まとめ、ルール・制度ならびにビジネスモデルの検討を、鹿島建設はアーキテクチャ検討、ルール・制度ならびにビジネスモデルの検討を、日立はアーキテクチャ検討を、産総研はスマートシティ・アーキテクチャに関する国際標準化の検討を、DTAはデータ流通に関する国際標準化の検討を、それぞれ担う。

同プロジェクトは、今年度末までに研究成果を取りまとめ報告し、共通スマートシティ・アーキテクチャを確立することで、スマートシティひいてはSociety 5.0の実現をリードするとともに、国内外でのスマートシティの普及拡大を加速し、日本の持つ高度な課題解決力を世界へ展開していく考えだ。