2019年10月31日にSamsung Electronicsが第3四半期(7~9月期)の決算概要を発表したが、その中のディスプレイパネル事業部門の業績は、売上高が前年同期比8.2%減、前四半期期比21.5%増の9.26兆ウォン、営業利益は、前年同期比20.6%増、前四半期比56%増の1.17兆ウォンであった。
当該事業では、大型ディスプレイが業界全体を覆っている供給過剰問題から業績不振となったものの、中小型の有機EL(OLED)がスマートフォン(スマホ)向けに好調であったこと、ならびにコスト削減の効果もあり、営業利益の改善につながったとする。
また、第4四半期については、製品ミックスの変更と一部の生産ラインの稼働率低下によってコスト増となるためモバイル向けの収益性が低下するとの予想をしており、同社は生産効率の改善を図るとともに、先端技術の採用を拡大することで、収益性の向上に努めるとしている。
一方の大型ディスプレイについては、需要の低下と価格の下落が続いているため、第4四半期も収益が減少する可能性があるとしており、モニターやPIDを含む製品の多様化により収益性の確保を目指すとしている。
2020年はQDに焦点を絞って事業を再編成
2020年については、モバイル向けは、競争が激化するものの、5Gの普及による有機ELの需要が着実に増加するとの見方を同社は示しており、より幅広い顧客の確保とさらなるコスト競争力の向上に向け、販売の拡大と稼働率の向上に注力していくとしている。さらに、折り畳み式ディスプレイパネルの需要にも積極的に対応していき、幅広いアプリケーションで季節的な影響を最小限に抑えることを目指すとしている。
一方の大型ディスプレイ事業については「QD-OLED Display(量子ドット有機ELディスプレイ)」に注力するため、液晶中心であった事業構造を再編成することを計画しているとするほか、超大型パネル、8Kテレビ、プレミアムモニタといった付加価値製品の販売を拡大することで、収益性の確保を目指すとしている。