ルネサス エレクトロニクスは10月31日、独自のプロセス技術「SOTB(Silicon On Thin Buried Oxide)」を採用することで、低アクティブ電流と低スタンバイ電流の両立を実現したエナジーハーベスト(環境発電)用の組み込みコントローラを「REファミリ」と命名し、第一弾製品「RE01グループ」の量産を開始したことを発表した。

  • REファミリ

    REファミリのパッケージイメージ

RE01グループは、Arm Cortex-M0+コアを搭載し、最大動作周波数64MHz、最大1.5MBの低消費電力フラッシュメモリ、256KBのSRAMを搭載。駆動電圧は1.62Vで、エナジーハーベストコントローラ回路、低消費電力14ビットA/Dコンバータ、グラフィックデータを回転・拡大・反転できる低電力回路なども搭載しており、156ピンWLBGAパッケージ品、144ピンLQFPパッケージ品、100ピンLQFPパッケージ品がラインアップされている。

SOTBは、ウェハ基板上の薄いシリコン層の下に極めて薄い絶縁層(BOX:Buried Oxide)を形成。シリコン層に不純物を混入しないことにより低電圧で安定した動作を可能にし、電力効率が高い演算を行うことが可能。また、スタンバイ時はBOX層下のシリコン基板電位を制御(バックバイアス制御)することにより、リーク電流を削減し、待機電力を抑えることで、従来はトレードオフの関係にあった、アクティブ時の消費電力とスタンバイ時の消費電力を、どちらも極限まで減らすことができるという特徴を有している。

そのため、REファミリは充電池などのメンテナンスをせずとも、光や振動、流量などの微量の環境発電で得られる電力のみで動作ができるようになるため、人が電池の交換を行いづらい場所に設置するIoT機器などでの活用が期待されると動作yでは説明している。

また同社は、今回の製品発表と併せて評価キット「RE01グループ Evaluation Kit」も344ドル(税別)で発売を開始。これにより、ユーザーは環境発電で動作するシステムの評価を簡単に行うことができるようになり、機器の開発を速やかに進めることができるようになるという。

  • REファミリ

    RE01グループの評価キット。RE01ならびに、エナジーハーベスト素子用インタフェース、二次電池接続用インタフェース、Arduino互換インタフェース、Pmodコネクタなどが搭載されているほか、低消費電力MIP液晶拡張基板を同梱。ソフトウェアも、Armのソフトウェアインタフェース規格「CMSIS」対応ドライバを用意したほか、バッテリメンテナンスを不要とするパワーマネージメントのリファレンスとなるサンプルコードとアプリケーションノートも提供される

なおREファミリは、2020年以降も256KBフラッシュメモリ搭載の小型製品などを投入していく予定だという。