ウェザーニューズとトヨタ自動車は11月1日、ウェザーニューズが持つ気象データとトヨタのコネクティッドカーから得られる車両データを活用して、気象観測・予測の精度向上やドライバーの安全向上を目指す共同研究の一環として、ワイパーの稼働状況と気象データから道路およびその周辺の状況を把握するための実証実験を東京都・大阪府・愛知県の3都府県を対象に開始した。
昨今、激甚化する気象現象やそれによる被害が社会問題となっており、これまで以上に局地性・即時性のある気象情報やその対応策情報が求められている。このようなニーズに対応するためには、詳細かつ正確な気象状況をリアルタイムに把握することが必要となるが、既存の気象観測器は設置場所や測定間隔が制限されてしまう課題があるという。
一方で、IoT技術を持つコネクティッドカーからは走行データや車のコンディションデータを取得し、車の走行や挙動に影響を及ぼす事象を捉えることが可能となっている。このような背景から、両社はウェザーニューズが持つ気象データとトヨタのコネクティッドカーから得られる車両データを活用して、気象観測・予測精度の向上やドライバーの安全を目指す取り組みを開始した。
従来のように気象現象を直接センサで捉えるだけでなく、車両データと気象データというビッグデータを組み合わせて分析することで、道路およびその周辺の実況把握への新たな活路が開けることが期待でき、今夏には道路の冠水箇所を推測するAIアルゴリズムを開発し、10月には実証実験を実施した。
今回の実証実験では、対象地域を走るトヨタのコネクティッドカーから得られるワイパーの稼働状況をマップに可視化し、実際の気象データと照らし合わせる。
雨雲レーダーに映らない低い雨雲により関東で雨となった過去の事例では、アプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられる天気報告であるウェザーリポートで雨の報告があったエリアとワイパーの稼働エリアがおおよそ対応していたことを把握しており、ワイパーデータの活用で雨雲レーダーでは捕捉できない降水の把握が期待できるという。
なお、実証実験ではワイパーデータと気象データとの関係を詳細に分析し、正確な降水エリアの把握のほか、ワイパー強度に対応する降水強度の推定などにも取り組み、ワイパーデータの天気予報への活用も検討する予定。ワイパーデータを活用し、レーダーでは捉えられない降水や実際の降水強度など、道路およびその周辺の状況を正確に把握することで、状況に応じた運転者への注意喚起を行い、ドライバーの安全に寄与することを目指す。